舞いあがれ!五島の魅力 バラモン凧ちなんだ新商品続々 郷土への熱い思いで開発

五島産レモングラスの香り豊かなバラモンビール(五島列島マルシェ提供)

 NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に登場する五島伝統の民芸品バラモン凧(だこ)。このイラストを描いたり、名前を冠したりした新商品が長崎県五島市の内外で続々登場し、好評だ。故郷の振興への思いとともに、島外に暮らす子どもや孫、友人に贈るなど、五島のアピールに一役買っている。
 バラモンは、五島の方言で「ばらか」に由来し、元気者などの意味。鬼に立ち向かう武士の勇ましい姿が描かれ、五島では男の子の初節句に祖父らが贈る風習がある。

■色合い鮮やか

 「『五島の象徴』であるバラモン凧にちなんだ商品を作りたかった」と語るのは、明治創業の片岡呉服店(中央町)の代表社員、片岡聖皓さん(48)。鬼の迫力ある表情が特徴的な手ぬぐい(縦90センチ、横36センチ、希望小売価格1枚2200円)を販売している。

鬼の表情を全面に出した手ぬぐい

 市内のバラモン凧職人が描いたデザインを基に「鬼の迫力が一番伝わるように」と、表情を強調したものに決定。京都の老舗手ぬぐい専門店に製造を委託。型紙を使った代表的な染色技法「型友禅」を用い、鮮やかな色合いに仕上げた。昨年7月の販売開始後、予想を上回る千枚以上を販売。購入者の中には島外の五島出身者にプレゼントする人も多く、片岡さんは「五島を思い出すきっかけになってくれたら」。

■イラスト写す

 老舗和菓子店「スプラウト三葉家」(中央町)は、「ばらもん凧もなか」(1個180円)を、ドラマ放送開始の昨年10月に発売。求肥(ぎゅうひ)入りの白いもなかの表面に、菓子用のプリンターでイラストを写している。

表面にイラストが入った「ばらもん凧もなか」

 もなかは、約70年前の同店創業時からの看板商品。ドラマに合わせて新商品を発案した。「発売以来、島外に住む子どもや孫のために買って贈るという人が多い」と、同店3代目の山下恭二さん(62)。「バラモン凧は五島の伝統。島内外の子どもも由来や意味を知ってほしい」と伝統の継承にも期待を寄せる。

■レモングラス

 五島の特産品を扱うアンテナショップ、五島列島マルシェ(東京都港区)は「バラモンビール」(330ミリリットル、アルコール分6.5%、希望小売価格1本千円)を昨年10月から販売している。
 運営する中村茂幸さん(53)は五島市出身。元々、五島でオリジナルビールを造りたいという願望があった。自店の取扱商品でもある五島産レモングラスも使用し、大阪のクラフトビール醸造会社に依頼した。爽やかな香りと風味が特徴。ラベルも目を引き、若い女性を中心に反響があるという。五島市内のバーなどでも味わえる。原材料ラベルにはあえて「レモングラス(五島列島産)」と産地を明記するこだわり。「ビールを通じて五島に行ったり、興味を持ったりしてもらいたい」。郷土への熱い思いを込めている。


© 株式会社長崎新聞社