線路も走行 新型バス開発へ実験 岡山電気軌道 次世代型へ手応え

特殊な車輪で路面電車のレールを走る保線作業用トラック=25日午後11時9分、岡山市中心部

 車道と路面電車の線路の両方を走れる新型バス車両の開発に向け、岡山電気軌道(岡山市中区徳吉町)は25日深夜、同市の桃太郎大通り一帯で大がかりな実証実験を行った。鉄道などに乗り入れできる保線作業用のトラックを使い、路面電車「東山線」(JR岡山駅前―東山)のレールで実際に走らせて安全性などを確かめた。

 同社によると、路面電車は交通渋滞の影響を受けにくいため、既存のレールに路線バスを接続できれば、朝の通勤通学時間帯の乗客輸送がよりスムーズになるという。東山電停(同徳吉町)付近で頻発する渋滞にバスが巻き込まれ、定刻運行が難しい現状などを踏まえて企画した。国土交通省によると、路面電車とバスの機能を備えた交通機関が実現すれば全国初の事例になる。

 実験は終電後の午後10時半からスタート。業者の職員が運転する保線作業用トラックが岡山駅前電停に到着後、タイヤに代えて特殊な車輪を出し、車体を浮かせてレール上を時速15キロほどで東に進んだ。岡山シンフォニーホール近くで折り返し、1往復約2キロを無事に走りきった。

 同社は結果を踏まえ、既存バスの改造など3~5年後の実用化を目指して事業計画を練る方針。改造はレールを走るための車輪の設置や架線から集めた電気で動くEV化などを視野に入れている。

 トラックに同乗した小嶋光信社長は「安全性のさらなる検証や乗り心地の改良など課題は多いが、実現に向けた手応えは大きい。便利で利用者に喜んでもらえる次世代型車両の開発に全力を注ぎ、公共交通の需要喚起にもつなげたい」と意欲を見せた。

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