全F1ドライバーのヘルメットにマイクロカメラ『ドライバーズ・アイ』の装着が可能に

 2021年からF1でテストされてきた小型ヘルメットカメラが、2023年には全ドライバーに装着されることが認められた。この映像により視聴者は、ドライバーの視点からコース上での出来事をよりリアルに見ることができ、F1の放送の質が向上することになる。

 このヘルメットカメラは、2021年シーズン後半に初めて試用され、昨年も何度かテストが行われていた。その間に技術が改善され、ドライバーたちが、カメラの装着に関して一切問題ないと報告した。

 1月23日、イタリア・ジェノバを本拠地とするRacing Force社は、F1との間で、2023年シーズンにおけるヘルメットカメラ技術の供給に関して合意したと発表した。『ドライバーズ・アイ』という名称のマイクロカメラは、FIAの承認を受けたもので、2023年シーズンには、F1ドライバーと契約する全ヘルメットメーカーと全F1ドライバーがそのテクノロジーを利用することが可能になる。

 その驚異的なテクノロジーに関する同社の説明によると、『ドライバーズ・アイ』は、直径は8mm、重さは1.43gと極めて小さく、そのためにドライバーたちはテスト中に何の違和感も感じなかった。このカメラがヘルメット内側の保護パッドの目の高さに配置される。

 このテクノロジーを最初に試したドライバーはフェルナンド・アロンソで、2021年ベルギーGPでマイクロカメラを装着して走行、その映像も披露された。2022年にはBELLヘルメットとFIAが緊密に協力し、契約ドライバーすべてのヘルメットにこのマイクロカメラを取り付けた。

2021年F1第12戦ベルギーGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のヘルメットに取り付けられたカメラ『ドライバーズ・アイ』

 今年は、F1ドライバーたちが契約している他のヘルメットメーカーもこのテクノロジーを使用することができる。20人全員がフリー走行の最初からヘルメットカメラを装着して走り、『F1 TV』等を通して臨場感あふれる映像が伝えられることになる。レーススタート時や荒れた天候の際に、走行中のドライバーたちが目まぐるしく変化する状況にどのように対応しているかを見ることができるだろう。

 F1は、自動車技術に直結していない分野においても技術開発の最前線に立ち、自動車産業だけでなく他の技術分野にとっても、モータースポーツが大きな価値を持つということを証明している。

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