教員不足、岸田首相「危機感を持って受け止めている」 参院本会議代表質問で答弁 本紙報道など受け

 【東京】岸田文雄首相は26日の参院本会議の代表質問で、沖縄県那覇市内の小学校で臨時的任用職員(臨任)を確保できず、年度途中に担任不在が続いていた学級の児童が他の学級に振り分けられていたことが判明するなど、教員不足が深刻化していることについて「危機感を持って受け止めている」と述べた。水岡俊一氏(立民)への答弁。
 水岡氏は、教職員の間で心身の不調による病休者が相次ぐなど「全国の学校で教員不足が深刻だ」と指摘し、本紙連載でも取り上げている教員不足問題について岸田首相らに現状認識をただした。26日付本紙掲載の那覇市内の小学校での年度途中での学級再編についても、「信じられない出来事」として取り上げ「年度途中の学級閉鎖でクラスは解体され、子どもたちは他のクラスへ割り振られた」と説明。こうした現状を招いた原因が、自民党政権下での「文教政策の失敗」にあるとし、岸田首相に政策転換を求めたほか、鈴木俊一財務相にも教職員定数について、「合理化を前面に出すことに意味はあるのか」とただした。
 岸田首相は、教員不足の解消のため、講師などの候補者を集めた人材バンクによる情報提供や、教員保持者の活用を促すなど「入職支援などの取り組みを強化していく」とした。「教師不足への対応を含め文教政策にしっかり取り組んで参りたい」と述べたが、従来の文教政策からの転換には言及しなかった。
 鈴木氏は、「教職員定数の合理化」の方針について、「少子化に伴う生徒の自然減を反映するとともに社会情勢の変化に伴うさまざまな課題に対応するため」のものだとの認識を示し、「必要な措置を講じる」と述べるにとどめた。
(安里洋輔)

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