国宝建築守れ 吉備津神社で訓練 岡山市消防局、文化庁長官ら視察

放水銃やヘリコプターから本殿などに水を放った訓練

 「文化財防火デー」の26日、岡山市消防局は、国宝の本殿、拝殿を有する吉備津神社(北区吉備津)で消防訓練を行い、都倉俊一文化庁長官らが視察に訪れた。

 拝殿そばの草木から火が出たとの想定で、消防職員や団員、神社関係者ら約70人が参加。神職、巫女(みこ)が消防局への通報や初期消火、参拝者の避難誘導に当たり、本殿から宝物を運び出した。

 駆け付けた消防職員らは小型無人機ドローンで上空から逃げ遅れた人がいないか確認。最後は境内4カ所に設置された放水銃、消防ヘリコプター「ももたろう」、消防車から本殿、拝殿に向けて一斉に水を放った。

 藤井崇行宮司は「非常に有意義な訓練になった。文化財を失うことがないよう予想外の出来事にも目を光らせたい」と語った。

 吉備津神社は文化庁の補助金などを活用し、昨年9月までに放水銃を含む防災設備を更新。都倉長官や鈴木建一消防庁審議官、大森雅夫市長が訓練を見守った。都倉長官は「国の宝を守ろうとする地元の皆さんの努力、決意を感じた」と述べた。

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