水質悪化「予見は困難だった」国体競技中止の市貝町が検証報告

アオコが発生し、緑色に濁った競技会場=2022年9月9日午後、市貝町塩田

 昨年9月に栃木県市貝町の塩田調整池を会場に開催が予定された「いちご一会とちぎ国体」オープンウオータースイミング(OWS)競技が水質悪化により中止となった問題で、町は26日、検証結果を町議会全員協議会で報告した。入野正明(いりのまさあき)町長は「予見は困難だった」と述べた。

 報告書によると、昨夏の記録的な高温と降水量の少なさにより調整池の水位が急激に下がったことで水質が悪化し、水の汚れの程度を示す「化学的酸素要求量(COD)」が基準を超えたため中止に至った。大量発生したアオコに毒性はなく、直接的な要因ではないとした。

 町が設置した「町事業検証委員会」は小森祥一(こもりしょういち)町教育長を座長に、町内のスポーツ関係2団体の役員と町職員計6人で構成。1月までに計3回議論し、12ページの報告書をまとめた。

 入野町長は、町担当者の配置、人事異動での引き継ぎが適切でなかったとして「選手、競技役員、関係者に迷惑をかけ申し訳ない。町民の期待を裏切り、自らの責任を感じている」などと説明。「3月議会で責任を明らかにし信頼回復に努めたい」と述べた。

 同協議会では町側の説明に対し、町議から「検証内容が甘く、言い訳めいている」「最終的に誰がどう責任を取るのか」「なぜ教育長が検証委の座長なのか」と厳しい指摘が相次いだ。

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