リリース30周年!ZARD「負けないで」令和になっても生き続ける元気ソング  ドラマ「白鳥麗子でございます!」エンディングテーマ

「おどるポンポコリン」から始まった90年代ビーイング伝説

2021年の年末からリマインダーにカタリベとして参加させていただいておりますが、80年代だけではなく、90年代のアーティストや音楽もクローズアップしてコラムを書かせていただいております。90年代は、8cmシングルと呼ばれた短冊形CDが時代を象徴するアイテムでしたが、生み出された171曲のミリオンヒットのほとんどが8cmシングルで発売されたものばかりです。その中でも、小室哲哉がプロデュースした “小室系” と “ビーイング系” と呼ばれた集団が中心となりヒットチャートを賑わせていました。

90年代のビーイング伝説は、1990年4月に発売されたB.B.クィーンズの「おどるポンポコリン」の大ヒットから始まります。この曲はテレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の初代・エンディングテーマ曲に起用されましたが、10週連続1位を獲得するというヒットになり、この年最大のヒット曲になりました。そして、日本の音楽はやがて “J-POP” と呼ばれるようになり、CDバブルの時代に突入していくわけです。

“ビーイング” は、1988年にデビューしたB'zをはじめ、Mi-Ke、ZARD、T-BOLAN、WANDS、大黒摩季、DEEN、FIELD OF VIEWなど、数え始めたらきりがないほど多くのヒット曲を世に送り出してきました。

「白鳥麗子でございます!」エンディングテーマ「負けないで」

今回は1991年にデビューしたZARDをクローズアップしますが、デビュー曲「Good-bye My Loneliness」は中村雅俊と田中美佐子主演のテレビドラマ『結婚の理想と現実』の主題歌に起用され、20万枚を超える大ヒットになっています。

僕がZARDのファンになったのは3枚目のシングル「もう探さない」からなのですが、有線放送で偶然耳にしたこの曲は今でも個人的フェイバリットソングです。しかし、本当のZARD伝説が始まるのは4枚目のシングルとして発売された「眠れない夜を抱いて」からです。何故ならこの曲から、リリースしたシングルすべてがTOP10入りを果たしているからです。

ZARDは1990年代、最も多くのCDシングルを売上げた女性アーティストなのですが、中でも「負けないで」「揺れる想い」「眠れない夜を抱いて」の3曲はミリオンを達成する大ヒットになっています。

今回ピックアップをする「負けないで」は、今からちょうど30年前の1993年1月27日に6枚目のシングルとして発売された曲ですが、松雪泰子が主演をつとめたドラマ『白鳥麗子でございます!』第1シリーズのエンディングテーマに起用されました。歌詞の中の「今宵は私(わたくし)と一緒に踊りましょう」というフレーズは、主人公の白鳥麗子に寄せて書かれた詞なのかな… と当時は勝手に想像していましたが、そんなタイアップも忘れてしまうほど、この曲はその後も独り歩きし成長していきます。

人の痛みに寄り添ってくれるような、坂井泉水の歌詞が多くの人々に共感されたのが大きな要因だと思いますが、『全国高等学校クイズ選手権』のエンディングテーマや、選抜高等学校野球大会の入場行進曲に選定され、様々な場面で応援歌として起用されてきました。他にも『24時間テレビ』でたびたび歌われてきたので、若い世代の方にも浸透している1曲かもしれません。

メディアに登場しないアーティストZARD

ZARDといえばメディアに登場しないことでも有名でしたが、この「負けないで」の発売時に『ミュージック・ステーション』に出演しています。この時の貴重な映像はたびたび放送されるのでご存じの方も多いと思いますが、ほぼメディアに登場せずここまで多くのCDを売り上げたというのも驚異ですよね。それだけ、彼女の歌の存在は魅力的だったのだと思います。

1999年5月28日に発売されたアルバム『ZARD BEST The Single Collection〜軌跡〜』はZARDの90年代の集大成とも呼べる作品ですが、このベストは、ZARDのキャリア最大の300万枚以上を売り上げるメガヒットアルバムになっています。このベストアルバムの1曲目に収録されていたのもこの「負けないで」でした。

2000年以降も、コンスタントにヒット曲を世に送り出してきたZARDの坂井泉水さんですが、2007年に還らぬ人となりました。訃報を耳にした時は信じられない気持ちでいっぱいでしたが、彼女の歌は今でもファンの人の心の中で生き続けていると思います。お亡くなりになったあとも、追悼盤や記念盤がリリースされヒットを記録し、フィルムコンサートやメモリアルコンサートなどが開催され、多くのファンの方が参加されています。

さらに、2014年には「負けないで」が高校の英語の教科書に掲載され、『An Encouraging Song』というタイトルで英文化されているそうです。もちろん、お亡くなりになったことは残念でなりませんが、名曲は人々によって歌い継がれ、聴き継がれ後世に残されていくのだと思います。

この曲を当時聴いていた高校生が、今40代の大人に成長しているかと思うと、30年間という年月の重さを感じずにはいられません。コロナ禍の時代になり、毎日悲しいニュースが届く世の中になってしまいましたが、そんな時でもこの「負けないで」を聴くと、どこか勇気に似た感情が湧いてきます。1ミリでもいいから気持ちを動かしたい時に、是非この曲を聴いてみて下さい。

カタリベ: 長井英治

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