マツダは2023年1月27日(金)に、同社のコンパクトモデル「MAZDA2(マツダ2)」を装備とグレード構成の見直しなどを含む大幅商品改良を行い、予約受付を開始しました。今回はそんなマツダ2の価格やスペックなど、カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが詳しく解説します。
マツダ2のおすすめポイント
・これまで12グレード展開だったものが、新たに8グレード展開にグレード構成が整理され、選びやすくなった
・ライバル車にも引けを取らない装備、価格設定に
マツダ2の評価
マツダ2の良かった点
スポーティグレード中心だったグレード構成が、リラックスできる明るい雰囲気のグレードも設定されるなど、選びやすいものに
マツダ2の気になった点
特になし
総合評価 3.9 ★★★★☆
今の国内販売では、ボディのコンパクトな車種が売れ筋です。2022年には新車として売られたクルマの39%を軽自動車が占めて、これに続くのが24%のコンパクトカー&ミドルサイズハッチバックでした。
そのために5ナンバーサイズのコンパクトカーには、販売ランキングの上位に入る人気車が多いです。2022年の登録台数を見ると、日産 ノート+ノートオーラが1ヶ月平均で約9200台、トヨタ ルーミーは約9100台、トヨタ ヤリス(SUVのヤリスクロスとスポーツモデルのGRヤリスを除く)は約6900台という具合です。
しかしマツダ2(MAZDA2)は、1ヶ月平均で約2000台と伸び悩んでいます。価格の高いミドルサイズSUVのマツダ CX-5が約2600台を登録しており、マツダ2は割安なコンパクトカーとしては不本意な売れ行きになりました。40歳未満のユーザーが減り、高齢化が見られることも、マツダ2の悩みです。
マツダ2の発売時期
そこで若年層のユーザーを増やすことも視野に入れ、マツダ2はマイナーチェンジを実施しました。2023年1月27日に予約受注を開始して、販売店によると「納車を伴う発売は3月23日以降」とのことです。
マツダ2の価格・グレード構成
今回のマイナーチェンジでは、エンジンやサスペンションなどには改良を加えていません。変更されたのは、装備とグレード構成です。以前はマツダらしいスポーティグレードが中心でしたが、マイナーチェンジ後は、スポルト、BD、特別仕様車のサンリットシトラスに大別されます。
目新しいグレードはBDです。BDは「ブランクデッキ」の略称で、絵柄の入っていないスケートボードを示す言葉です。つまりシンプルで色を変えられるという意味です。
マツダ2のボディサイズ
マツダ2の外観(エクステリア)
BDの特徴はフロントマスクに象徴されます。フロントグリルを狭めて、パネルを装着しました。大きなグリルを備えるスポルトに比べて、外観が穏やかな雰囲気です。フロントグリルに装着されるパネルは、基本的にはボディ同色ですが、色彩を変更できます。メーカーオプションでは、ホワイトグリルが用意されます。
このほか2トーンのフルホイールキャップ、外装色に合わせた3種類のインパネカラー、外装色とは色彩が異なるルーフフィルムやドアミラーも用意しました。外装色は11色、ルーフカラーは3色、ホイールキャップカラーは6色、インパネカラーは3色で、合計すると198通りのカラーコーディネーションを選べます。
これに伴って、ホイールキャップを装着しないレスオプションも可能にしました。従来はホイールキャップのようなディーラーオプションを装着する場合、標準装着品は廃棄していましたが、エコロジーの観点から好ましくありません。ユーザーの出費も増えます。そこで標準装着品をはずすレスオプションを用意しました。
レスオプションを選ぶと、価格が2万4200円安くなります。メーカーが標準装着するパーツのコストは、想像以上に安く、通常は非装着にしても価格はほとんど下がりません。ホイールキャップの非装着で2万4200円安くなるのは、ユーザーにとってメリットです。マツダが自由に選べるカラーコーディネーションに力を入れている証ともいえるでしょう。
また、ルーフフィルムも用意しました。フィルム表面の形状が緻密で、反射する光を調節しています。上質な光り方を実現できました。通常の塗装工程が必要な2トーンカラーに比べると、これもエコロジーに繋がります。
そして外装色やホイールキャップの組み合わせにより、ルーキードライブ(ROOKIE DRIVE)、クラップポップ(CLAP POP)といった用品パッケージも設定され、デザイン表現の幅を広げました。
用品パッケージ 内訳
一方、スポルト(SPORT)は従来のデザイン路線を発展させ、専用のグロスブラックによるメッシュグリル、ブラックのルーフフィルム、ブラックメタリックと切削加工による16インチ専用アルミホイールなどを標準装着しています。
特別仕様車のサンリットシトラスは、衝突被害軽減ブレーキを高速域でも作動させるスマートブレーキサポート、全車速追従機能付きクルーズコントロール、本革巻きステアリングホイール、運転席の電動調節機能、前席シートヒーターなどを標準装着しています。
マツダ2の内装(インテリア)
インパネカラーは前述の通り3色で、外装色に合わせて、ピュアホワイト、グロスブラック、グロスライトブルーから選べます。インパネには植物由来原料のバイオエンプラが使われ、二酸化炭素の排出量を抑えています。しかも成形に使う金型を綿密に造り込み、深みのある高い質感も備わりました。後から1個ずつ塗装したり磨いたりするのではなく、金型の段階で仕上げるため、作業工程もシンプルです。この点でもエコロジーを促進させます。
マツダ2のおすすめグレード
マイナーチェンジを受けたマツダ2のおすすめグレード(買い得グレード)は、直列4気筒1.5Lのガソリンエンジンを搭載する15BD(164万7800円)です。このグレードにスマートブレーキサポートや全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールをセットにしたセーフティクルーズパッケージ(6万6000円)、360度ビューモニターなどを備えた360度セーフティパッケージ(6万500円)、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(3万3000円)、ルーフフィルム(5万5000円)を加えて、総額186万2300円とするのが最もオトクな選び方です。マツダのメーカーオプションは割安に設定され、数多く装着しても割高になりません。
ちなみにコンパクトカーのガソリンエンジンを搭載する買い得グレードは、ホンダ フィットホーム(182万6000円)、トヨタ ヤリス1.5G(179万9000円)のように、180万円前後に集中しています。そこでマツダ2は、各種の上級機能をオプション装着した上で、ライバル車の買い得グレードと価格が釣り合うように配慮しました。15BDを選び、実用装備をオプション装着すると、出費を抑えながらマツダ2の個性を満喫できます。
マツダ車らしいスポーティな走りを楽しむなら、高い駆動力と低燃費を両立させた1.5Lのクリーンディーゼルターボ搭載車を選びます。グレードはXDスポーツ+(232万1000円)がベストです。価格は高めですが、専用装備のアダプティブLEDヘッドライトを始めとして、運転席の電動調節機能など、各種の装備を充実させました。フル装備ですからオプションを加える必要はありません。
なおクリーンディーゼルターボを割安に手に入れたいなら、XD・BD(199万1000円)も選べます。装備は買い得グレードの15BDとほぼ同じで、34万3200円を加えることにより、ディーゼルエンジンにグレードアップできます。
マツダ2のボディカラーは全11色
マツダ2はスポーツ路線が好みでなかった方にもウケるかも
マツダ2はマイナーチェンジによってグレード構成が整理され、選びやすくなりました。特にBDにはリラックスできる明るい雰囲気が感じられ、今までのスポーツ路線を進むマツダ車とは性格が異なります。従来のマツダ車が好みに合わなかったユーザーも、マイナーチェンジされたマツダ2なら気に入るかも知れません。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:MOTA編集部】