H-IIA ロケット46号機、政府の「情報収集衛星レーダ7号機」打ち上げに成功 安全保障や災害対策に利用 

三菱重工業株式会社は2023年1月26日、「H-IIA」ロケット46号機の打ち上げを実施しました。同ロケットには「情報収集衛星レーダ7号」が搭載されており、打ち上げは成功したということです。

【▲ 三菱重工業が公開したH-IIAロケット46号機の打ち上げの様子(Credit: 三菱重工業打ち上げサービス)】

日本時間2023年1月26日10時50分、H-IIAロケット46号機は鹿児島県・種子島にある種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打ち上げられました。打ち上げから約20分後、三菱重工業は衛星の分離を確認したと発表しました。

今回搭載された情報収集衛星レーダ7号は、内閣衛星情報センターが開発と運用を行います。同センターによると、情報収集衛星は外交・防衛の安全保障分野と災害発生時の対応などの危機管理分野における情報の収集を目的として使用されるということです。

情報収集衛星には光学センサーを使用して地上を撮影する「光学衛星」とレーダーで地表を調べる「レーダ衛星」があり、地球の特定地点を1日1回以上撮影できる能力を持ちます。今回打ち上げられたレーダ衛星は、衛星から電波を放出することで、その反射波を検知して撮影を行うことができ、時間帯や天候に縛られずに観測できます。

現在運用中の情報収集衛星は、「光学5号機」「光学6号機」「光学7号機」「レーダ3号機」「レーダ4号機」「レーダ予備機」「レーダ5号機」「レーダ6号機」「データ中継1号機」となります。今回打ち上げられたレーダ7号機は、レーダ5号機の後継機として使用されます。

今後の計画は国が5年に一度改訂・発表している「宇宙基本計画工程表」に示されており、基幹衛星(光学+レーダ)4機と時間軸多様化衛星4機、データ中継衛星2機の合計10機体制で運用することを目標としているということです。

【▲ 宇宙基本計画工程表で示された情報収集衛星(光学衛星)に関する今後10年間の計画(引用:宇宙基本計画工程表令和4年度改定, p4)】

【▲ 宇宙基本計画工程表で示された情報収集衛星(レーダ衛星)に関する今後10年間の計画(引用:宇宙基本計画工程表令和4年度改定, p4)】

なお、種子島宇宙センターでは、2023年2月13日に新型ロケット「H3」試験機1号機の初打ち上げが予定されています。

関連:JAXA、新型ロケット「H3」試験機1号機の打ち上げ日時を2月13日に再設定

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文/出口隼詩

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