長崎県内 5年以内離職46%…「保育士の働き方改革」 県が支援へ

講師の指導の下で行われた研修の様子=県内(県提供)

 高い離職率が課題となっている保育士の離職防止・処遇改善を図るため県は本年度、保育事業所の働き方改革の支援事業を始めた。社会保険労務士や、保育士を養成する大学の教授らを講師として現場に派遣し、業務改善への助言や保育の仕事のやりがいを再認識する機会を設けている。2023年度も継続する方針。
 県こども未来課によると、21年度に県内の指定保育士養成校(大学・短大5校)と専門学校1校で資格を取得し保育士として働く県内出身の新卒者約263人のうち、90.1%が県内の事業所に就職。一方で、就職から5年以内の離職率は46%に上るという。
 昨年10月から今年1月にかけて、県内各地の九つの保育所や認定こども園で派遣事業を展開。保育現場に精通した社労士が訪問し3回程度、各事業所の職員と面会(オンライン含む)し、就業規則や給与規定の見直しなどについて助言した。
 保育士養成校の大学教授らも3回程度、各事業所を訪問した。保育現場に一緒に入り、乳幼児への有効的な声かけや特別な配慮が必要な子への対応など実践型研修を実施。職員が仕事のやりがいを再認識したり、情報通信技術(ICT)を活用した保育方法を学んだりする機会となった。
 取り組んだ事業所は、▽定年退職後も働く職員の処遇についての就業規則▽職員の休憩時間の確保▽小学校に引き継ぐ「要録」の書き方▽アニバーサリー休暇の導入-など多岐にわたる項目で助言を得た。
 ある事業所は「少人数の研修で丁寧に話を聞くことができ、ぜいたくな時間」と振り返り、教授らとの意見交換を通じ「普段あまり意識せずに行っていた保育を客観的に見て、見直す機会になった」という。
 同課によると、資格はあるが働いていない県内の潜在保育士は約7800人。うち約1200人から回答を得たアンケートでは、改善してほしい部分として「給与・賞与等」以外に、「事務の軽減」「休暇等の改善」「保護者対応」などが上位を占めた。
 同課は「現役の職員も同様の認識だと考えている。各事業所が改善ポイントを把握し、できることから取り組むことで、職員の離職防止だけでなく潜在保育士の復帰にもつながる」と期待している。
 本年度の事業結果については、27日に長崎市内で開く「成果発表フォーラム」で報告される。


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