霧島山・新燃岳 300年ぶりのマグマ噴火から12年 18年6月以降 4年半、噴火なし 専門家「活発化 なお注意が必要」

噴煙を上げる霧島連山・新燃岳=26日、霧島市国分上野原テクノパークから

 2011年に霧島山の新燃岳がマグマ噴火を起こしてから、26日で12年を迎えた。噴火は18年6月以降4年半近く発生しておらず、22年夏から噴火警戒レベルは1(活火山であることに留意)。ただ、今年1月中旬には火山性地震が1日10回以上発生するなど一時的に増加し、専門家は「活動が静穏とは言えない」と話す。

 新燃岳では11年1月26日朝、約300年ぶりとなる本格的なマグマ噴火が発生。気象台は当時の基準で、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。その後は1から3を行き来し、22年8月19日以降は5段階で最も低い1。引き続き火口内や火口周辺での火山灰噴出や火山ガスに注意を呼びかけている。

 火山活動は穏やかになっているものの、噴火の恐れは低くなった訳ではない。霧島連山を研究する鹿児島大学の中尾茂教授(地球物理学)は、「霧島山の山体膨張や断続的な火山性地震が続いている。活動が活発化することは十分ありうる」と話す。

 11年の噴火では1年ほど前から地殻変動などの兆候があったとし、「今後も噴火の前兆をとらえられる可能性は高い」との認識を示した。

 霧島連山は登山でも人気。中尾教授は「警戒範囲外でも噴石飛散などがありうる。気象庁のホームページなどで最新情報を集め、楽しんでほしい」と話した。

■霧島小で避難訓練、防災意識高める/宮崎・高原町6校も学習

 霧島連山・新燃岳で、約300年ぶりにマグマ噴火が発生して12年となった26日、霧島市の霧島小学校で避難訓練があった。噴火を想定し、噴石などから身を守る行動や避難経路を確認。防災意識を高めた。

 児童は各教室で説明を受けたあと、防じんマスクやヘルメットを装着。避難開始の放送を聞いて低学年から順に体育館へ移動した。

 5年の恩田芽依さんは「去年より周囲に注意して避難できた。実際に噴火があっても落ち着いて行動できると思う」。名越秀人校長(58)は、「12年が過ぎ、噴火を経験している児童はおらず、訓練の重要性が増している」と話した。

 26日を「新燃岳を考える日」と定めている宮崎県高原町の6小中学校は、避難訓練や授業を通して防災を学んだ。

 火口から東に約8キロの狭野小学校では、全児童31人が町民らの噴火経験をまとめた冊子で当時を振り返り、登下校中や外出中などあらゆる場面を想定した避難方法を話し合った。噴火約1カ月前に生まれた6年の古賀結乃さんは「いざ噴火したら冷静さを失うと思う。事前にいろいろなことを調べて備えたい」と話した。

【地図】九州の主な火山
整列し落ち着いた様子で避難する児童=26日、霧島市霧島田口の霧島小学校

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