岸田首相、鉄人「しょうたろう効果」どころか外遊中観光疑惑でピンチ 予算委の新たな火種に

岸田文雄首相(資料写真)

 岸田文雄首相の長男の翔太郎秘書官が欧米歴訪同行の際に公用車で観光したとの疑惑を週刊誌が報じたことを巡り、政権内に波紋が広がっている。木原誠二官房副長官が27日の会見で「政務秘書官としての公務以外の不適切な行動はなかった」と反論するなど官邸は防戦と火消しに懸命だ。

 「そもそも社会経験の浅い身内を要職に就けていること自体がおかしかった」(自民党幹部)との批判は与党内からも上がる。防衛費倍増へ向けた増税にどう道筋をつけるかなど諸処の難題を背負う首相だが、来週から始まる予算委員会に向けて身内が起点の新たな火種を抱えた格好だ。

 翔太郎氏は昨年10月、岸田事務所の公設秘書から官邸入りし政務担当の首相秘書官に就いた。この際に国会審議などで「身内びいき」と批判されたが、首相は「適材適所」として譲らなかった。

 岸田首相はその風貌や意思の強さで一部官僚から「鉄人28号」と称される。同アニメでリモコンを操る主人公が「金田正太郎」であることを重ね、「身近に気脈が通じる人材を置けば総理も内閣も立て直しが図れる」(省庁幹部)と「しょうたろう効果」(同)への期待もあった。しかし今回の騒動を受けて「効果どころかピンチを招くとは…」(同)と失望が広がっている。

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