【医療事故】新潟大学医歯学総合病院、切除を予定していない部位を切除する事案が2件発生

新潟大学医歯学総合病院

新潟大学医歯学総合病院は27日、同院で医療事故が2件あったと発表した。2022年の10月と11月に診察した事例で医療事故が発生した。

1件目は、新潟県在住の70歳代の男性の患者に対し、2022年10月に胃の2カ所の病変のうち1カ所を内視鏡を用いて切除することになった。その際、本来切除するべき部位と、切除を予定していなかった部位を誤認して、切除を予定していなかった部位を切除した。退院後の外来で、外来担当医が内視鏡の所見をあらためて確認したところ、切除した部位が予定と異なっていたことが明らかになった。

医療事故を起こした診療科から事故の報告があり、報告を受けて医療安全管理委員会を開催して、調査を行った。その結果、2つの病変のうち、切除を予定していなかった部位の方が、外見上むしろ切除を要する所見にみえたこと、術前に切除を行う部位の確認が不十分であったことが原因として挙げられた。

再発防止策として、術前の確認(タイムアウト)の際に、他の確認事項に加えて、病変の位置の確認と術前の病理検査の結果を、診療チーム全員で確認することした。また、診療科内および診療チームによる術前検討会においても、切除対象となる病変の再確認の徹底を行い、再発防止に取り組んでいる。

患者と家族には、事故の発覚後すみやかに事実経緯を伝え謝罪したという。本来切除するべき部位については、あらためて患者に了解を得た上で、内視鏡を用いて切除した。患者は現在も同院で治療を継続している。

一方、2件目は、新潟県在住の60歳代の女性で、2022年11月に下肢の腫瘤の切除と人工骨頭による再建術を行った。その際、切除した腫瘤の中に下肢の動脈が含まれていることがわからず、本来切除する予定がなかった同動脈を切除した。翌日になって、下肢の虚血(血流の低下)が生じていることがわかり、精査の結果、本来切除する予定がなかった下肢の動脈を切除してしまったことが判明した。

下肢の虚血が判明した時点ですみやかに緊急手術を行い、切断された動脈を人工血管を用いて再建した。患者は、術後集中治療室に入室して厳重な管理を行っていたが、再手術後は順調に回復し、集中治療室を退室したという。

医療事故を起こした診療科から事故の報告があり、報告を受けて医療安全管理委員会を開催して、調査を行った。その結果、今回切除した動脈は細く蛇行していたため、他の動脈との区別がつきにくかったこと、もともと下肢の動脈の脈(拍動)が触れにくく、血流の低下に気づくことが難しかったことが挙げられた。

再発防止策として、術前に造影 CT 検査などで動脈の走行をより詳細に検討しておくこと、術後に血流の障害が生じうることを念頭において、術後複数のスタッフで血行を評価することが挙げられ、再発防止に取り組んでいる。

患者と家族には、事故の発覚後すみやかに事実経緯を伝え謝罪したという。患者は現在も同院で治療を継続している。

新潟大学医歯学総合病院は、「このたびは、患者さま並びにご家族の皆様に大きな不安と苦痛を与えてしまい、大変申し訳なく、心よりお詫び申し上げます」とコメントを出した。

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