マスコミ幹部が武器輸出緩和や反撃能力保有提言

 敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を含む提言をまとめ、今回の安保3文書に盛り込まれることとなった「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の議事録が出席者の発言含め25日までに全文が公表された。有識者会議委員のマスコミ幹部が武器輸出緩和や反撃能力保有、財源での建設国債利用を提言していた。

 それによると、日本経済新聞社の喜多恒雄顧問は「経済力、外交力、科学力などを総合的に強化することが肝要だ」としながらも「日本は長年武器輸出を制約し、日本の防衛産業の成長を妨げてきた」と発言。「制約をできる限り取り除き、民間企業が防衛分野に積極的に投資する環境をつくることが必要だ」と武器輸出規制の緩和を提起していた。

 また「防衛体制の強化に使う費用には公共インフラが含まれている。これは建設国債が財源になる。ところが自衛隊の隊舎など防衛費から捻出するものには建設国債があてられない。こうした伝統的な考えも、財源確保を検討する中で見直すことが必要ではないか」と抜本的な防衛力強化に伴う財源確保に建設国債を一部で充てることを後押しする発言を行っていた。

 また読売新聞グループ本社の山口寿一社長は「反撃能力を保有し、継戦能力を高めると言った対象の重点化を図ることが必要だ」と反撃能力保有を提言していた。さらに「防衛装備品の輸出拡大を日本の安全保障の理念と整合的に進めていくための対策が検討されるべきだ」と述べていた。

 また山口氏は「日本は目前の脅威に直面している」とし「最も優先されるべきは有事の発生自体を防ぐ抑止力であって、抑止力に直結する反撃能力、つまり、スタンド・オフ・ミサイルではないか。国産の改良を進めつつ、外国製のミサイルを購入して、早期配備を優先すべきだ」と米国製の巡航ミサイル購入を念頭にしていると思われる提言をしていた。

日本共産党は機関紙「赤旗」で26日、「歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力(反撃能力)保有や軍事費増額のための増税を当然視。メディア幹部、大軍拡後押し」と報じた。(編集担当:森高龍二)

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