被災の真備支えた食堂 表町に復活 岡山 中華そばの味、看板そのまま

真備町特産のタケノコを使ったメンマ入り中華そばとライスのセット。オリジナルの総菜(手前左)が付く

 西日本豪雨の被災地支援をきっかけに倉敷市真備町地区で営業していた飲食店「ノラネコ食堂」が、岡山市の表町商店街で復活した。地区特産のタケノコ入り中華そばや「真備店」の文字が残る看板はそのまま。かつての常連客らも足を運んでいる。

 ノラネコ食堂は2019年8月、真備町川辺にオープンした。18年7月の豪雨発生直後から避難所で炊き出しなどを行っていたオーナーの岩田圭司さん(47)=岡山市=が住民の要望を受け、浸水した民家の駐車場を借りて営業。地元主婦らの働き先としての役割も担ったが、駐車場の貸与期限だった昨年3月末、惜しまれながら閉店した。

 表町商店街には昨年12月に開店。店の入り口では真備町で使っていた看板が出迎える。人気メニューの中華そば(900円)は味を一切変えず、引き続き真備町産タケノコのメンマを入れている。中華そばとライスのセット(千円)には、同じくタケノコを使ったオリジナルの総菜「飯取(めしとり)物語」が付く。

 オープン後、真備町の住民や元従業員が来店し、中には週に数回、足を運ぶ人も。「またこの味が食べられてうれしい」と感謝されたり、現在の生活の様子を話してくれたりしたという。

 岩田さんは「常連さんと約束していた復活を果たせて良かった。店のあちこちにある“真備”の2文字を見て、あの水害に思いをはせるきっかけになれば」と話している。

 営業時間は午前11時~午後2時と午後5時~12時。火曜定休。

復活したノラネコ食堂の外観と岩田さん。真備町で使っていた看板も現役だ

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