「雰囲気」…ふんいき? ふいんき? 正しく読めていますか “誤読多発”で、スマホも誤変換!?

ある場所や、そこにいる人たちから自然に作り出される気分やムードのことを「雰囲気」といいます。読み方は「ふん(雰)・い(囲)・き(気)」。しかし、これを「ふ・い・ん・き」と間違って読む人が少なくありません。

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誤用の広がりは、パソコンやスマートフォンで「ふいんき」と入力すると、使用している日本語機能によっては、誤りであることを示さずに「雰囲気」と変換してしまうほどです。

つい、まちがったまま読んでいませんか?

実はあの言葉も?身近にある「音位転倒」

上記のように、語句の本来の読み方が変わってしまうことを「音位転倒(音位転換)」と呼び「1単語中の2つの音素が位置を交換する現象」と定義されています。日本語では…

・新しい:アラタシ → アタラシイ

・舌鼓:シタツヅミ → シタヅツミ

・山茶花:サンザカ → サザンカ

・秋葉原:アキバハラ → アキハバラ

などが代表的な音位転倒で、いずれも、すでに本来の読み方よりも定着しています。転移が起こるのは、①発音しやすくした、②関連のある別の語の読み方に影響されたことなどが主な原因です。「シミュレーション(simulation)」が「シュミレーション」と誤読されるのも、外来語の音位転倒です。

アメリカでは読み方で差別も

外国語でも音位転倒は起きます。英語では「metathesis(メタセシス)」といい、

・nuclear(ニュークリア―:原子力)→nucular(ニューキュラ―)

・prescription(プリスクリプション:処方)→perscription(パースクリプション)

などがありますが、最も代表的なのが

・ask(アスク)→ ax、またはaks(アクス)です。

「尋ねる」という意味で使うaxは、数十年前まではアメリカで「教養のない層が使う間違った読み方」と見下されて、差別の対象にもなり、使わないように国語の授業などで指導されていましたが、中世ヨーロッパ文学作品でも用いられていることなどからも明らかなようにaxも同じ意味の示す英単語でした。

歴史的な背景への理解が進んだことから近年、発音の違いだけで相手の社会的ステータスを推し量るのは間違いだという認識に改められているということです。

正しい読み方を心掛けよう

言葉の変化に伴い、発音もよりしやすく変わっていきますが、前出の「雰囲気」のように対応する漢字を見れば明らかに誤読と言わざるを得ないケースもあります。

テレビやラジオのニュースは、社会における言葉の変化を加味しながら、正しい日本語の読み方を実践しています。これらを参考に、正しい読み方を心掛けましょう。

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