選挙啓発キャラクターに大抜擢されたのはVチューバー⁉ 静岡のご当地VTuber「木乃華サクヤ」が投票率UPに一役買う

2023年は統一地方選の年。なんとか投票率を上げようと、それぞれの選挙委員会が躍起になる中、大切になってくるのが、CMやポスターなどで投票を呼び掛けるイメージキャラクターです。この“選挙啓発の顔”をめぐって、静岡の選択がいま、世間をざわつかせています。

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静岡市長選挙・静岡県議会議員選挙(4月9日投開票)の広報イメージキャラクターに選ばれたのは、なんと、Vチューバー。静岡県のご当地VTuber「木乃華(このはな)サクヤ」です。選挙啓発で、バーチャルキャラクターが起用されるのは全国的にも珍しく、もちろん、静岡県では初めてのケースです。これまでのキャラクターといえば、その地域にゆかりのあるアイドルや俳優、スポーツ選手などが選ばれてきましたが、なぜ、Vチューバーだったのか、その狙いを探りました。

木乃華サクヤをデザインした選挙啓発ポスター

「木乃華サクヤ」って何者?

そもそも、「木乃華サクヤ」とは、何者なのか。彼女は、静岡県活性化を目指して、地元のラジオ番組の企画から誕生したVチューバーです(※Vチューバー=バーチャルYou Tuberの略で、YouTube上で2Dや3Dのキャラクターアバターを用いてライブ配信などを行う人)。

“富士山の頂上に住んでいるお姫さま”が女子高生に扮し、現代社会で生活しているという設定で、髪飾りや服のデザインに、富士山や駿河湾など静岡県の名所のイメージが散りばめられています。これまでに、地元企業と協力して、緑茶飲料や日本酒を発売したり、テレビ番組の司会を務めたりと、いま注目のキャラクターなんです。

2年前の市議選 20代の投票率は20%…

では、なぜ、木乃華サクヤが選挙キャラクターなのか。ズバリ、ターゲットは若者です。ただでさえ、投票率の低下が続く地方選挙。2021年3月の静岡市議選では、20代の投票率が20.8%と、全体の投票率40.31%の半分程度にとどまっていて、若者の投票率向上は大きな課題です。

さらに、選挙権年齢が18歳に引き下げられた中、若者に“刺さる”にはどうすればいいか。そこで白羽の矢が立ったのが、親和性が高いとされるVチューバーでした。

上向くか、若者層の投票率

静岡市選挙管理委員会事務局の平井寿弥さんは、「人ではない啓発キャラクターの起用は時代の流れでもあります。全国的に10~20代の投票率が低いので、Vチューバーの力を借りて、多くの若者の投票につながればうれしいですね」と新しい試みに期待を寄せます。

今回、静岡市では、選挙啓発のパンフレットを有名コンピュータゲームの画面風にデザインするなど、若者の意見を反映した対策を打ち出していて、「木乃華サクヤ」のキャラクター起用も若者へのこうした取り組みのひとつだということです。

Vチューバーは“スキャンダルリスク”が低い⁉

ところで、Vチューバーをキャラクターにした自治体はこれまでにあるのでしょうか。最初に起用したとされるのが、茨城県選管。2018年の県議選で、同県公認VTuber「茨(いばら)ひより」を起用して啓発動画を製作しました。ただ、これはまだまだまれなケースです。

ただ、こんなメリットもあるといいます。実在する芸能人を起用するよりも、スキャンダルのリスクも低く、街頭啓発活動実施がままならないコロナ禍でもオンラインイベントが開きやすいなど、可能性を秘めています。

今後、全国の選挙でVチューバーの起用が進むきっかけとなるのか。若者の投票率向上へ、「木乃華サクヤ」のイメージキャラクターとしての活躍にも注目が集まります。

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