「長崎の野球界が頑張るきっかけに」長崎日大・平山清一郎監督 県勢初 センバツ2校出場インタビュー<上>

「長崎県内に“負けたくないな”というチームがたくさんある」と話す平山監督=諫早市、長崎日大学園野球場

 選抜高校野球大会(3月18日開幕)の出場校が27日に決まり、4枠の九州代表に長崎日大と海星が選ばれた。県勢の甲子園ダブル出場は史上初。長崎の野球界をさらに盛り上げていく好機になる一方、競技を取り巻く環境は年々、厳しさも増している。両校の監督らに今回の快挙の要因や全国での目標、県内の現状と課題などを聞いた。

 -2010年夏を最後に甲子園から遠ざかっていた中、18年夏終了後に母校の監督に就任。今回で2年連続の選抜出場と再起した。振り返って。
 結果だけ見れば、そこそこ順調にステップアップしていると思うけど、実感ははっきり言ってない。自分のチームに手応えを感じるということはないと思う。OBがようやく監督になったなという周囲の期待は感じている。(恩師の)的野和男監督が土台を築き、前任の金城孝夫監督がプラスアルファをつけてくださったチーム。そこにOBの力もさらに加えたい。部長やコーチをOBで組めているのも大きい。

 -甲子園出場が県勢で平成最多の長崎日大と、昭和最多の海星が2校同時に出場を決めた。
 長崎のレベルが上がったとかはあんまり思わない。ただ“負けたくないな”というチームがたくさんあるので、そこでもがいているだけ。その中で海星さんや目と鼻の先に練習場がある創成館さん、近年力がある大崎さんとかと練習試合をさせてもらって(年齢が上の指導者たちに)多くを学ばせてもらっているのはありがたい。

 -練習には自らが一番乗り。監督室で炊飯し、グラウンド整備も徹底的に求める様子が印象的だ。
 子どもたちが、どんな表情で練習に入って来るのか。それは的野先生から教えてもらった大事なこと。選手の食トレもお金をかけないでできればいいし、何でもない当たり前のこと。あくまでも主役は子どもたち。私たちは脇でどれだけサポートできるか。グラウンドは野球部の伝統。卒業生が3年間やった場所が汚かったらがっかりする。それはOBの私の責任。

 -昨春の甲子園は近江(滋賀)に延長タイブレークの末に敗れて1回戦敗退。夏は県王座をまだ奪回できていない。
 昨年の選抜出場決定後、的野先生に「夏の大会がきょうから始まったぞ」と言われたが、生かせなかった。重要なのは“練習より試合が楽”となるくらい練習でいかにプレッシャーをかけられるか。時代の変化、子どもたちの変化の中、その方法論を模索し、あがいている。ヒントがないか学校の他競技の練習を見に行ったりもする。

 -2校出場で楽しみが増えた。意気込みを。
 長崎は硬式野球の社会人チームがなくなった一方、サッカーやバスケットボールなどは大きな波も出てきている。他競技に負けないように野球界が頑張る一つのきっかけになりたい。そのために勝ちたいし、それが夏への起爆剤にもなるかもしれない。高校野球は何と言っても夏。そこで成果を出せるチームになる。

 【略歴】ひらやま・せいいちろう 長崎日大高野球部OBで在学時は主将兼捕手。1997年春の第100回九州大会で優勝。日大進学後もプレーを続け、2002年に社会科教諭で母校に赴任した。副部長や部長として後輩たちを支え、18年の夏終了後に監督就任。43歳。


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