通報者と消防、スマホで映像やりとり 応急処置支援や増援指示も 横浜市が2月開始

 横浜市消防局は2月1日、119番通報者とスマートフォンで映像をやりとりできる「LIVE映像通信システム」の運用を開始する。活動部隊の到着前に傷病者や災害現場の映像を確認し、応急処置の方法を動画で教えたり、状況に応じて部隊の増隊を指示したりする。同様のシステムを本格導入するのは、県内の消防で初という。

 システムではまず、119番通報を受け付ける消防司令センターが通報者の携帯電話番号を確認。ショートメッセージサービス(SMS)でスマホに専用URLを送信する。通報者は画面をタップしてビデオ通話に切り替え、災害現場などの状況を映像で伝える。

 適切な応急処置の方法を動画で伝えることも可能になる。市消防局は、正しい心臓マッサージのやり方や、喉に詰まった異物の除去方法を撮影した動画を用意。通報者に送ることで、口頭での説明を交え、最適な応急処置を施してもらう流れを想定している。

 「周囲に第2通報者がいれば、応急処置の様子を撮影してもらい、さらなる指示を伝えることも可能」と市消防局の担当者。現状では口頭での説明に限られてしまうため、救急隊が到着するまで適切な応急処置を施せない場合があり、「救命率の向上につながる」と話す。

 システムの運用開始に先立ち、同局は現場で活動する消防隊員に業務用のスマホを貸与。火災現場に向かっている隊員に映像を送ることで、事前に危険情報を共有したり、活動部隊を増やして対応に当たるという。

 「まずはシステムの内容を市民の方々に周知し、活用の場面を増やしたい」と担当者。2月1日の運用開始以降、3月末までに課題を洗い出し、4月以降に改善を図っていくという。

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