知人死亡、殺したのは誰…肩を刺した男は懲役14年、首も刺した目撃証言に裁判長「信用できない」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県久喜市のアパートで2019年6月、ベトナム人の男性2人が死傷した事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた、ベトナム国籍で住所不定、無職トン・タット・ズオン被告(28)の裁判員裁判の判決公判が27日、さいたま地裁であり、小池健治裁判長は殺人罪ではなく殺人未遂罪にとどまるとして、懲役14年(求刑・懲役30年)を言い渡した。

 判決理由で小池裁判長は、死亡した男性が致命傷となった首を刺されたことについて、「被告が首を刺したことに間違いないとするには合理的な疑いが残る」とし、「男性は被告に肩などを刺された後、何者かに首を刺され死亡した」と判断した。

 ズオン被告が首を刺したとする目撃証言については、「不自然不合理な点があり信用できない」と退け、肩などを刺した行為で殺人未遂罪が成立するとした。

 弁護側は、ズオン被告は肩などを刺した行為は死ぬ危険性の高い行為と分かっておらず、傷害罪にとどまると主張していた。

 判決によると、ズオン被告は19年6月29日夜、久喜市のアパートで、ベトナム人の知人のゴー・バン・ドンさん=当時(25)=と、別の男性=同(26)=を包丁で複数回刺して重傷を負わせた。ドンさんはその後、何者かに首を刺されて死亡した。

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