フジテレビドラマが王座奪還!「silent」を抑えて年間トップに立ったのは?「年間ドラマ録画視聴ランキング2022」発表

「TVガイド 2022年11/18号」表紙:川口春奈&目黒連東京ニュース通信社刊

今年の初めは、関東101万台を超えるレグザ視聴データを基に、TVガイドWebで毎週発表している「地上波録画視聴ランキング」を集計した「年間ドラマ録画視聴ランキング2022」を大発表! 果たして、2022年最も録画視聴されたのはどのドラマだったのか?

まずは、昨年放送された連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」年間ベスト30。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

「衝撃」と言っていいかもしれない。放送回ベスト30のうち、23本をフジテレビのドラマが占めている。まずは1月クールに放送された菅田将暉主演「ミステリと言う勿れ」の第2話から第12話(最終話)までが1位から11位までを独占するという圧倒的な強さを発揮(第1話は16位)。そして12位以降には、10月クールに放送され大きな話題となった川口春奈目黒蓮共演の「silent」の各回がズラリとランクイン。2作品で完全に上位を制圧している。

「月9」枠で放送された「ミステリと言う勿れ」は、原作コミックの評価が高く、スタート前から期待されていた作品。主人公・久能整を演じた菅田のなりきりっぷりがハンパなかった。整の情報満載の長ゼリフや謎解きの複雑さで繰り返し視聴が促されたこともあり、破格の高ポイントで上位に君臨した。そしていまだ記憶に新しい「silent」は、繊細なタッチが幅広い層に支持されストレートな純愛ドラマ久々のヒット作となった。脚本・演出に新鮮な顔ぶれを起用した点も注目に値する。

ということで、一気に「年間平均録画視聴ランキング」も見ていただこう。ドラマごとに録画視聴ポイントの全話平均を集計したもののベスト20である。

当然のことながら1位は「ミステリと言う勿れ」、2位は「silent」。3位以下を大きく引き離して上位を占めた。逆に3位以下は僅差の争いとなった。数字だけでなく、ドラマの評価や話題性という意味でも上位2作品は飛び抜けていたと言ってよく、22年はフジテレビドラマ復活の年だったと総括して差し支えない。

が、あらためてランキングを振り返ると、TBSのドラマがベスト20のうち過半数の11本を占めている。これはTBSプライムタイムのドラマ3枠(日曜9時、火曜10時、金曜10時)に放送された全12作品のうち11本がベスト20にランクインしているということで、この安定感と枠に対する視聴者の信頼は特筆すべきことと言える。つまり、フジテレビの優れた上位2作品の独走を許したのは、ここ数年連続ドラマをリードしてきたTBSが自ら築いた安定の方程式に寄りかかりすぎた故の結果なのではないか。ほぼ全作品がランクインしているということが、逆に冒険作が少なかったことを示している。そういう意味では、唯一ベスト20入りを逃した「君の花になる」には、チャレンジの萌芽があるのかもしれない。23年は、フジテレビのさらなる躍進に加え、TBSの逆襲に期待したい。そして、それ以外の局も含めて見知らぬ意欲作の登場を望みたい。

続いて「最終回継続率ランキング」を見てみよう。今回はゴールデン&プライム帯のドラマに限ったランキングである。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。

トップは山下智久が久々に主演した「正直不動産」。原作の面白さに加えて、ドラマオリジナルのキャラクター造形の魅力が支持を集めた。ベスト5にNHK総合、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、日本テレビの各局のドラマが仲良く並んでいるのがなかなか楽しい。

さて、年間ランキングということで、今回ちょっと別の視点を加えてみる。最終回継続率が高い作品=視聴者の満足度が高いということは言えるとしても、やはり初回のポイントが低い作品が有利なことは否めない。そこで今回は連続ドラマの「初回ランキング」を調べて見た。前掲の全放送回ランキングから、各ドラマの初回のみを抽出したベスト20である。

初回のポイントが高いドラマは事前の期待や話題性が高いドラマだと考えられる。トップは「ミステリと言う勿れ」。全12話の中で最も数字の低かった初回だが、それでも全ドラマ中の年間第1位ということで、ここでも桁外れの強さがうかがえる。また、TBSのプライムタイムドラマが10作ランクインしていて、こちらも存在感を示している。そして、「初回ベスト20」と「最終回継続率ベスト20」の両方にランクインしているドラマは全部で七つ。上位から「ミステリと言う勿れ」「silent」「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」 「マイファミリー」 「真犯人フラグ」 「PICU 小児集中治療室」 「六本木クラス」の7本である。この辺りの作品が、一定の満足度を伴った22年の代表的なドラマとして、今後語り継がれていくことになるのかもしれない。

23年もすでに新たなドラマが続々スタートしている。今年はどんなドラマが私たちを楽しませてくれるのか。TVガイドWebも引き続き注目していきたいと思う。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社

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