相葉雅紀が「ひとりぼっち ―人と人をつなぐ愛の物語―」で主演。石井ふく子が橋田壽賀子に捧げる物語

相葉雅紀が、TBS系で今春放送の「ひとりぼっち ―人と人をつなぐ愛の物語―」(日時未定)で主演を務めることが分かった。

「ひとりぼっち ―人と人をつなぐ愛の物語―」は、人と人とのつながりが希薄になっている現代で「あなたは“ひとりぼっち”ではない」と、一生懸命に日々を生きる人々にエールをおくる、愛と奇跡の物語。プロデューサーを務めるのは、同局の人気シリーズ「渡る世間は鬼ばかり」をはじめとする数々の名作ドラマを世に送り出してきた石井ふく子氏。2018年に放送したドラマ特別企画「あにいもうと」、20年の新春ドラマ特別企画「あしたの家族」と、今もなお精力的に作品を生み出している石井氏が贈る本作は、最も親交の深い脚本家だった故・橋田壽賀子さんに捧げる物語だ。

相葉は、06年の「トリプル・キッチン」以来約17年ぶりのTBSドラマ出演となり、同局で主演を務めるのは今回が初めて。石井作品への参加も初となる。相葉が演じる主人公・杉信也は、建築士の資格を持ちながらも水道メーター検針員として働く青年。信也は誰にも言えないつらい過去を抱えていた。それは、15歳で両親も家も失い、その数年後には大好きだった姉までもが病気で急死してしまったことだ。1人取り残された信也は目標を失い「自分はひとりぼっち」と心を閉ざして生きていた。そんな時、友人に誘われて訪れたおにぎり専門店「たちばな」で、亡くなった姉にそっくりな店主・立花香と出会う。

「おにぎりは人との縁を結ぶ」という香は、そのお節介な性格でそれぞれの事情を抱える客たちと関わり、知らず知らずのうちに笑顔にしていく。最愛の姉に似ている香との出会いは、心を閉ざした信也をどのように変えていくのか。明るい笑顔が印象的な相葉が、そのイメージとはかけ離れた、孤独な青年をどう演じるのかに注目だ。

また、今作の脚本は、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」や大河ドラマ「八重の桜」(ともにNHK)、TBS系連続ドラマ「コウノドリ」(第1シリーズ)を手掛け、第28回橋田賞を受賞し、橋田さんと縁のある山本むつみ氏が担当する。

相葉は「僕は橋田壽賀子先生の作品を見て育った世代なので、石井ふく子プロデューサーが僕に声をかけてくださったことは率直に驚きました。また、初めてお会いした時には『ずっと一緒にお仕事したかったのよ』と言っていただけて、とてもうれしかったです。声をかけていただいた以上は、全力で演じさせていただこうと思いました。歴史あるチームの一員になるということは緊張しますが、温かく迎え入れてくださったチームの皆さんの心の大きさを感じ、こちらも心が温かくなりました」と、オファーを受けた際の心境を振り返る。

そして、「今だからこそ、余計に心に染みた」という脚本については、「この数年間は新型コロナウイルスによってリモートが多くなって、人の温もりを感じづらくなっていたと思います。そんな時代だからこそ、人と人とのつながりや温かさ、家族じゃなくても絆は生まれるというのが再認識できたお話でした」と感想を語る。

さらに、演じる信也に関しては、「両親と最愛の姉を亡くしたことで心を閉ざしてしまい、人と関わることを避けている青年です。亡くなった姉にそっくりな店主との出会いがきっかけで、そのおにぎり屋さんに通うようになっていくんですが、最初は夢も希望もなくてただ生きるために働いていた信也が、その店の店主と常連を通してどのように心が解れていくか、温かさを取り戻していくのか、というところにも注目していただきたいです」とキャラクターの変化していくさまを見どころに挙げる。

あらためて視聴者に向けて、「石井プロデューサーが『人は1人では生きていけない』とおっしゃっていましたが、本当にそうだと思います。僕自身も、光栄なことにこうやって作品をやらせていただく時、応援してくださる視聴者の皆さんの声だったり、キャストの皆さんやスタッフの皆さんと作り上げる達成感は、1人では感じることはできないと思っています。誰もが一度は、信也のように『ひとりぼっちだ』と感じる瞬間があると思います。けれど、ちょっと周りを見てみたら、手を差し伸べてくれる人がいる。『ひとりぼっちではない』と、温かく伝えてくれるドラマです。ぜひ、ご覧ください!」とメッセージを寄せている。

石井プロデューサーは「橋田さんとは作家の中で一番長いお付き合いになるのですが、けんかしながらずっとやってきて、それがいい方向に向いていろんなものをつくることができました」と橋田さんとの関係を回顧し、「ですから、そういう作家とこれから巡り合えるかどうか、非常に不安な気がいたします。今回の作品では、橋田賞を取られた山本むつみさんと初めてお仕事をさせていただきましたが、私が橋田さんのことをずっと考えながら作品の概要を書いていたことを、彼女もよく分かってくださっていました。最近の作品は回想シーンが多いなと感じることがあるのですが、それはどうしてなのかというところから話し合いを重ね、心と心をどういうふうにぶつけ合い、どういうふうにいとしみ合うかということを大事に考えていました。それは橋田さんと多くのドラマをやらせていただいた時に、一番大切な問題だったからです。ですから山本さんには、登場人物が今どういう気持ちでどういう心をもって現存しているかというのを主体に書いてほしいと伝えて制作しました」と本作の制作過程について説明する。

また、脚本制作においては「今のテレビ界には、心と心がぶつかり合うシーンが大事だと思っています。犯罪ものの作品が多いですが、犯罪よりも家族の方が怖いと私は思うんですよね。家族の間での心のすれ違いが多い時代なので、それを家族や友達とどう乗り越えていくのか…」と自身が大切にしている部分に触れ、「コロナ禍も相まって、心がひとりぼっちになることが多い時代です。だから、私はなんとか心の中に温かさの生まれるドラマを作りたいなと思い、本作はおにぎり屋さんを舞台にしたお話にしました。『心と心を結ぶおにぎり』。そのおにぎりを食べながら、主人公がいろんなことを考えたり、そこにいる人たちと交流したりできるかなということで」と本作の舞台を選んだ理由を明かす。

さらに「本作は、ある1人の人間がひとりぼっちになり心を閉ざし、人と話したくなくなるが、最終的にはやっぱり人に支えられて世の中を生きていて、今までも生きてきたんだと気付く物語です。これは橋田さんがいつも思っている言葉であり、心でした。それを私が今回、橋田さんをしのぶこのドラマに、ぜひ取り入れたいなと思って制作させていただきました」と作品に込めた思いを語る。

主演を務める相葉については、「とってもすてきな青年でした。本当に穏やかで、芝居でも、普段でも人と心で通じるような感じ。彼の周りには常に人が寄ってきて話していたので、私は彼とご一緒できてよかったと思っています。セリフも全部覚えてきていて、NGも出さなかったですね。あるシーンの撮影の時、『あぁ、きちっと芝居を心の中に入れながら、信也になりきって演じているな』と思いました。また一緒にやりたいなと思っています」とその印象を伝えている。

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