ミニシアター系話題作続々 シネマクレール浜田支配人に聞く 

『ワース 命の値段』の一場面(c)2020 WILW Holdings LLC. All Rights Reserved.

 アニメ作品を中心に大ヒットが相次ぐ映画界。ミニシアター系でも今後、話題作が続々と上映される。シネマ・クレール丸の内(岡山市北区丸の内)の浜田高夫支配人に必見の作品を聞いた。

 お勧めは「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督の最新作「ザ・ホエール」(4月)。死期を悟った肥満症の男が、病の原因となったトラウマと向き合うことを決意し、疎遠となっていた娘との絆を取り戻そうとする物語。深い悲しみを抱えた270キロの巨漢を演じたのは、長らく表舞台から身を引いていたブレンダン・フレイザー。米アカデミー賞で主演男優賞など3部門にノミネートされている。

 「逆転のトライアングル」(3月)は、セレブモデルらを乗せた豪華客船が難破し無人島に漂着。そこで頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃員だった―と、現代の階級社会やルッキズム(外見至上主義)を痛烈に皮肉る。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した話題作だ。

 見応えがあるドキュメンタリーも相次ぐ。「モリコーネ 映画が恋した音楽家」(2月)は、多くの映画音楽を手がけた巨匠の人生や創作の秘密に迫る。「ミスター・ランズベルギス」(同)は、初代リトアニア最高会議議長として独立運動を率いたランズベルギスに焦点を当て、小国がいかに旧ソ連からの軍事侵攻に“非暴力”で立ち向かい勝利したのかを映し出す。

 9.11同時多発テロの被害者遺族への補償金分配という難題に挑んだ弁護士をモデルにした「WORTH 命の値段」(2月)、チャイ売りの少年が映画に魅せられ監督になる…という監督自身の物語を作品化したインド映画「エンドロールのつづき」(3月)などもある。浜田支配人は「今の時代に見るべき社会派のものから、至福の時間を味わわせてくれる楽しい作品までそろっている。ぜひ足を運んで見てほしい」と話している。

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