議員「なり手不足」48%…“有効策”最多回答は「議員報酬引き上げ」 埼玉県内の地方議会、人口減も影響

議員「なり手不足」48%

 統一地方選前半戦(3月31日告示、4月9日投開票)まで残り2カ月となった。共同通信が全国の地方議会議長に行ったアンケートで、県内では半数近い約48%が議員のなり手不足を感じていると答えたことが30日までに分かった。無投票で議員が選出された市町村議会は埼玉県内では5市町で約7.9%。全国の市区町村議会での割合は16%に上り、小規模自治体を中心に人口減少が加速し、なり手不足の深刻化が鮮明になっている。

 同アンケートは、県内では県議会と63市町村議会議長を対象に実施。「なり手不足を感じる」または「どちらかといえば感じる」と答えたのは31自治体(48.4%)で、県内でも半数近くの自治体が地方議員のなり手不足を感じていることが分かった。町村では18自治体で78.2%に上る。

 全国では63%で、2018年の前回調査(52%)に比べ11ポイント上昇している。

 県内で市町村議員が無投票で選ばれたのは志木、横瀬、皆野、小鹿野、寄居の5市町。県議会では19年4月の前回、52選挙区、定数93のうち、過去最多の22選挙区計32人が無投票当選している。

 「なり手不足に対する有効策」を三つまで尋ねた質問で、最も多かった回答は「議員報酬の引き上げ」が46自治体71.8%、以下、「議員の厚生年金制度」が36自治体56.2%、「兼業規制の緩和」が29自治体45.3%の順。議員の待遇面などについて環境整備を求める声が多かった。

 自由記述では「人口減少が進む中、やりがいのある職業として身近に感じないと解消できない。小学生からの主権者教育等によって、地域の課題解決策を考えることを日常的にすることが解決の一歩」(戸田市)との声や「身分の保障。企業等に勤めている方が議員になることで、失業等となってしまうことがある。これでは若い世代は議員になることをためらうのではないか」(幸手市)、「立候補のための研修制度や資料の提供・学生のインターンシップや子ども議会などの事前の議会との関わり・主権者教育などの実施」(鶴ケ島市)などの意見もあった。

 「被選挙権年齢を引き下げるかどうか」の問いには、33自治体(51.5%)が「不要(現状の25歳を維持)」と回答。以下、「どちらとも言えない」が18(28.1%)、「必要」が10(15.6%)、その他・無回答が3(4.6%)だった。

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