障害者が安心できる社会を 長崎市が「ピアサポーター」養成研修 

実際のサポート事例について話し合う福祉事業所の職員ら参加者=長崎大保健学科

 障害や病気の当事者としての立場から、福祉事業所の利用者など精神障害者の生活を支援する「ピアサポーター」を担う人材を養成しようと、長崎市は研修に取り組んでいる。互いの経験や悩みを共有して支え合う「ピアサポート」活動を普及し、障害者が地域社会で安心して生活できる体制づくりを目指す。
 研修は2021年度から2年度連続で実施し、同市のNPO法人長崎のぞみ会(河野知房代表)が受託。今回はピアサポーターを目指す精神障害の当事者や福祉事業所の職員ら23人が、昨年8月から9回の講座を受講した。
 講座最終回の昨年12月18日、参加者は実際の支援を想定した研修を受講。「支援対象者が勤務先での仕事にやりがいを見いだしていない」という架空の事例を巡り、ピアサポーターとしての対応を検討した。参加者は具体的な支援方法を考え「(対象者が)自分がどう生きたいか発言する機会を持ちたい」「支援にこだわり過ぎず、そばにいることを基本にしたい」などと話し合った。
 この後、先輩ピアサポーターが、参加者にこれまでの体験や今後の夢を語り、参加者も思い思いに目標を語った。全ての研修を終え、河野代表から修了証を手渡された参加者の一人は「グループワークが楽しくもあり、勉強になった」と話した。
 ピアサポート活動に取り組み、研修で司会進行役を務めた大村市の片岡史和さん(50)は「ピアサポートは『お互いさまの学び合い』。自分の経験を大事にしながら、同じ目線で一緒にいることで双方にいい効果がある」と語った。河野代表は「この講座をきっかけにピアサポーター同士の横のつながりが広がっていくことを願っている」としている。


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