「沖縄経済へ破壊的ダメージ」電気料金の値上げ、沖電の公聴会に厳しい声相次ぐ

 沖縄電力の電気料金値上げ申請について経済産業省が30日に那覇市内で開いた公聴会では、事前に申し込みを済ませた消費者ら3人が意見陳述し「社会生活への大きな負担になることは明らか」「沖縄経済への壊滅的ダメージを与える」などと厳しい指摘が相次いだ。

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 原材料高騰と合わせた企業への打撃の大きさに言及した県衣類縫製品工業組合の美濃えり子事務局長は、一定の値上げに理解を示しつつ、上げ幅などについては「影響は甚大」と指摘。「コロナ禍から人流が戻りつつあり、県経済に明るい兆しが見え始めたところに冷や水を浴びせかねない」と懸念を表明した。

 その上で「一般社会生活にも大きな負担となる。一度に大きく上げるのではなく段階的な引き上げを検討してほしい」と嘆願した。

 沖縄県民所得倍増を10年で実現する研究所の砂辺宏治代表は、新たなエネルギーの開発に取り組んでこなかった政府の失策が電力値上げにつながっていると主張し「政府のエネルギー政策の失敗を県民が負担するのは納得がいかない」と述べた。

 脱炭素化などを推進するエネルギーラボ沖縄の宮城康智社長は「やむを得ない」としながらも、長期的な経営の効率化や再生可能エネルギーの導入などによる電力価格の安定化などについて注文をつけた。

 大手電力のうち7社が値上げを申請しており、沖縄、東北、北陸、中国、四国の5電力は4月から、北海道と東京の2電力は6月からの値上げを目指している。

 (普天間伊織)

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