大雪の日、手作りおにぎりとだし巻きが届いた 「優しい街」琵琶湖線の帰宅困難者が感激

守山市が開設した待機場所で一夜を過ごした人ら(25日午前、守山市勝部1丁目・あまが池プラザ)

 「10年に一度」と言われた厳しい寒波による大雪の影響でJR琵琶湖線などで複数の電車が立ち往生し、多くの帰宅困難者が出た。そんな中、滋賀県守山市が設けた一時待機所で地元の居酒屋店主が温かい食べ物の差し入れを行い、多くの利用者に喜ばれた。

 「助かりました。優しい街」。こんな文言とともにおにぎりとだし巻きの写真をツイッターで投稿したのは、守山市内の製造所に勤める会社員中村寿美さん=京都市山科区。

■「凍えそう、途方に暮れた」

 吹雪の中、職場からバスでJR守山駅に着いたのは24日午後7時ごろ。電車は動いておらず、ホテルは既に予約で埋まっていた。改札口で待つこと4時間。状況は一向に変わらず、運行再開は見込めないと聞いた。「風が吹き込んでくるので凍えそうだった。会社にも戻れず、途方に暮れた」と振り返る。

 同11時ごろ、タクシー乗り場にいると「今日は危険なので公共施設で過ごしませんか」と声を掛けてくる人物がいた。宮本和宏市長だった。市が避難場所として開設した「あまが池プラザ」に向かった。

 施設に着いてほどなくすると、手作りのおにぎりとだし巻きが届けられた。「温かくて今作ってくれたのが分かった。何人もの人がこのために動いてくれたのだと思い、感激した」

■「守山のために役に立てるなら」

 差し入れを行ったのは、駅前の居酒屋「炉端と日本酒 魚丸」の深尾知弘店長(31)。店を訪れた宮本市長らから「何か力になってくれないか」と頼まれた。閉店後だったが「長年地域で店をさせてもらっている。守山のために役に立てるなら」と二つ返事で了解した。食材が限られた中、「素早く作れて体が温まるものを」と余っていた米と卵を使いおにぎりとだし巻きを作れるだけ用意した。帰宅困難者に届けられ、大変好評だったと聞いた深尾さんは「人が困っている時は助けないといけない。役に立てて良かった」と満足げに話した。

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