プリンセス プリンセスのライブ・フィルムにメンバー富田京子(Dr.)が登壇!「メンバー5人、まだまだ頑張って、それぞれの道を歩んで生きています。またどこかでお会いしましょう」

ガールズバンドのパイオニアとして、1986年のデビューから1996年までの10年間を熱く駆け抜けた、プリンセス プリンセス。『Diamonds<ダイアモンド>』などのシングルがチャート1位となり、アルバムもミリオンセールスを記録して、その勢いと輝ける存在感を目に心に焼きつけた。メンバーは奥居香(現在は岸谷香)、中山加奈子、富田京子、今野登茂子、渡辺敦子。惜しまれつつも、一度はバンド活動に終止符を打ったが、2011年の東日本大震災後、2012年から2016年3月26日まで期間限定で再結成が実現。復興支援のために5人はバンドの音楽でパワーを送り続けた。 そんなメンバーの出会いから今年2月20日で40周年を迎える。そのアニバーサリー企画『プリンセス プリンセス メンバーの出会いから40周年記念プロジェクト ─DIAMONDS STORY─』がスタートし、デジタル・リマスタリングされたライブ・フィルムが1月から3カ月連続上映される。第1弾として、27年前に日本武道館で開催された1996年のプリンセス プリンセス解散ライブ最終公演の模様を完全収録した貴重なライブ・フィルム『The Last Live』(全35曲 / 約3時間)が、1月29日(日)に全国16都市21館の映画館にて、一日限定プレミア上映された。さらに当日、大阪の劇場・梅田ブルク7の上映後には、なんとメンバーの富田京子(Dr.)が登壇してトークショーも実現。

この日のチケットはソールドアウトとなり、302人の観客が劇場に詰めかけた。上映時間になると場内はイッキに27年前にタイムスリップ! オープニングで流れた映像はメンバーのリハーサル風景やプリンセス プリンセスがデビュー以来行なってきた伝説のステージの数々だ。 そして、鳥肌が立つほどの熱狂的な歓声に迎えられてメンバーがカラフルな衣装で登場すると、ライブは『SEVEN YEARS AFTER』から幕開けた。 ドラムの富田が全力で痛快なビートを叩き出し、今野はキーボードで華やかな音色を奏でる。その前に位置するギターの中山、ベースの渡辺、ボーカル&ギターの奥居の3人はより動きのあるパフォーマンスで煽り、会場の熱気を増幅させてゆく。 『OH YEAH!』では観客も一斉に声を上げ、一緒にジャンプする様子が映し出された。序盤から場内は沸騰し続けてテンポよく進行。エネルギッシュなパフォーマンスで武道館の天井を突き抜けんばかりに渾身の歌声を届けていく奥居香。 まさに、“世界でいちばん熱い”時間を体感させつつ、別れのバラード『ジュリアン』では、“さようなら、このうたを贈るわ…”と歌う詞がバンドの解散とも重なるように切なく胸の奥に響いてきた。 中盤になると、「ついに解散の日がやってまいりました」と奥居が口にして、「プリンセス プリンセスの歴史がひとめでわかる、すっごいメドレーを作ってみました!」と19曲が盛り込まれた“PRINCESS PRINCESS MEDLEY”が展開される。 ここではプリンセス プリンセスが発表してきた全アルバムから選んだ曲とシングル曲を年代順に並べて、『TOKYO彼女』から『相棒』まで、20分以上にも及ぶ熱演が繰り広げられた。 その後は一息つく形で長めのトークコーナーに。メンバー全員がステージ前方に置かれた椅子に座って、奥居曰く「5人の内面が見えるような」さまざまなエピソードが披露された。 時折、観客にも声をかけつつ談笑し、メンバー各自が解散後の人生にも思いを馳せて語り合う様子がとてもリアルに映し出される。それは、27年の時を経たスクリーン越しでも、まるで今、目の前で彼女たちが話しているようにも感じられるほどだった。 「プリプリが解散しても、いつまでも聴いてほしい。こんな女の子のバンドがいたんだよっていうことを教えてあげて。次世代へと受け継がれていくことが、私たちは最高の幸せ。どっかでこの曲を聴いたら、好きな人の顔と私たちのことを思い出してください」──奥居がそんな想いを伝えて歌った『M』。印象的なピアノのイントロから始まり、やさしく強く情感豊かなボーカルでみんなを包み込んでいった。 ライブの後半では一層ロック色が増してゆき、シングル曲などの音源で聴く以上に迫力ある生のパワーで圧倒していった。 特効の銀テープが放たれると、『ROCK ME』ではバンドの演奏もさらに熱を帯びて、パッション弾けるパンチの効いたボーカルが炸裂! 『GUITAR MAN』では中山加奈子と奥居香がツインギターで激しくかき鳴らす場面も。 奥居が「もっとやりた~い!」と叫んで加速していった『へっちゃら』を歌って、改めてメンバー紹介が行なわれる。 そして、印象的なシンセの音色が響くなか、「私たちは5人でプリンセス プリンセスでした」──そう噛み締めるように奥居が口にした後、『Fly Baby Fly』で本編を終えた。 会場全体がひとつになって求め続けるアンコールに応えてメンバーが戻ってくると、奥居香は初めて日本武道館のステージに立った日のことを振り返る。「このまま帰ってしまいたいっていうぐらい」緊張して震えていたことを吐露し、「そこで私たち5人はこの一言で開き直りました! カモーン! レッツ・ゲット・クレイジー!」そう叫んでゴキゲンなロックンロールチューン『GET CRAZY!』に突入する。続いて、『Diamonds<ダイアモンド>』では観客の熱いクラップに後押しされ、サビではみんなが幸せそうにシンガロングする光景が広がった。 ダブルアンコールで再びステージに戻ってきたメンバーは白い衣装に着替えていた。そして、ファンのみんなに、支えてくれた全スタッフに、「どうもありがとうございました!」と感謝の言葉を何度も繰り返して、『19 GROWING UP -ode to my buddy-』でついにフィナーレを迎えた。──それは27年の時の流れも忘れさせるほど、ライブ会場から沸き立つ熱気を浴び続けた約3時間だった。実際に劇場内でも自然と温かい拍手が贈られていた。

▲左から司会の尾上さとこ(FM COCOLO)、富田京子(ex-プリンセス プリンセス)

上映後のトークショーでは盛大な拍手に迎えられてドラムの富田京子が登壇。劇場に詰めかけたファンに感謝しつつ照れ臭そうな素振りで、「すごく出づらかったんです…。(映像は)27年前ですよ~」と苦笑する。 「最後のコンサートを観に来てくれた方ってどれぐらいいるんですか?」と声をかけると、場内には手を上げる人の姿が何人もいた。 その後、事前にツイッターで募っていたファンの質問も交えてMCが富田に訊いていく。 まず、ラストライブを終えて、「どんな気持ちになりましたか?」という問いには、ライブを終えた夜は「全員で同じホテルの部屋に泊まった」と明かし、次の日、ビデオになる映像をみんなでチェックしたという。 その後、夕方になって家に帰り、「ひとりになった時が一番悲しかったです…」と当時の心境を口にする。 「(解散ライブが行なわれた)1996年5月31日の自分自身にかけてあげたい言葉は何でしょうか?」という質問には、「(メンバー)みんなで、“この後の人生のほうが長いんだから”ってよく言ってたんですけど…。私はこれ以上楽しい日々もないし、こんな良い瞬間もないと思ってプリンセス プリンセスを終えたんです。でも、その後もとっても楽しいことはたくさんあったし、違う充実感も味わえました。まさかの再結成もあったりしたので、この後も楽しいから安心しなさい! って言いたいですね」と笑顔を見せていた。

2012年に再結成したときのことにも言及して、「自分たちはもう忘れられてるのかなって思ったんですけど…。最初に出た夏フェスで『M』をやったら、たくさんの人が集まってきてくれて、そこで勇気づけられましたね。曲があるから大丈夫! って思えて、本当にありがたかったです」と実感を込めてコメントしていた。 現在、富田自身は神奈川県藤沢でがん患者を支援する活動をしつつ、ドラムも続けているとのこと。 今は母親となって家事もしているが、「ドラムを叩いている時は“生きているな…”って感じる」という。 メンバーとの交流もあり、5月にはギターの中山加奈子と名古屋でライブをするそうで、「またぜひライブに遊びにきてください!」と嬉しそうにアピールしていた。

また、「息子にドラムをやらせたいが、どうすればドラムの楽しさを教えられますか?」という質問に対しては、「うちもそんな問題を抱えています。下の子が高校生なんですけど、楽器やればいいのになと思っていて…」と自身の同じ悩みを打ち明ける場面も。 あまり強く勧めても逆に拒否されそうなので、「ママ、ちょっと練習に行くけど、見に来る?」とさりげなく誘って、練習場所に連れて行くこともあるという。 そんなふうに母親となった富田の今の素顔を覗かせていたのが印象的だ。さらに、「好きなアーティストのライブとか見せて、ドラムカッコいいね!とか、うまく洗脳していくといいと思います(笑)」とアドバイスしていた。 そして最後に、「今日はありがとうございました。みなさんの元気な顔が見れてよかったです。メンバー5人、まだまだ頑張って、それぞれの道を歩んで生きています。またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました!」と感謝の気持ちを伝えて会場を後にした。

同日、プリンセス プリンセスがこれまで発売した全映像とミュージックビデオを12枚のBlu-ray ディスクに収めた永久保存盤が3月22日(水)に発売されることがアナウンス。 同作品には当時のツアーパンフレット21冊がコンパクトサイズで復刻して封入される。時を超えて、永遠に輝き続ける5人の物語。“プリプリ40周年”は今後もまだまだ熱い盛り上がりを見せていきそうだ。(取材‏‏・文:エイミー野中)

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