シャフトクロスからの”万年スライス”は右手の動きで改善

スライスから抜け出せない受講者のスイングを徹底解析

スライスのほとんどの原因は、バックスイングでフェースが大きく開くことにあります。さらに、フェースが開くパターンは2種類あって、ハーフウェイバックまでに大きく開いてしまうのが一つ。もう一つがトップでシャフトがクロス(シャフトがターゲット方向より右を向く)し、左手首が甲側に折れて大きくフェースが開いてしまうもの。今回は後者のパターンでスライスから抜け出せない受講者にレッスンします。

今回の受講者は…

「ゴルフは10年ほどやっていますが、なかなかスライスから抜け出せなくて悩んでいます。インターネットの動画レッスンとかをいろいろ参考にしても、自分では解決できません。また、フェアウェイウッドは当たらないし上がらないので、まったく使っていません。いま特に分からないのは、バックスイングでどこまでクラブを上げたら良いのかというところ。どこが適切なトップの位置なのか、なかなかつかめません」(三村さん ゴルフ歴10年 最近のスコア115)

スイングをグラフ化すると「フェース角」に問題があることが発覚

どこまでクラブを上げたら良いのか分からないということで、ピンとくるところはありますが、まずはひと通りスイング解析していきましょう。その結果、このようなグラフになりました。プロはグラフの面積が広くなりますが、アマチュアはグラフが部分的に大きく欠けたりするものです。三村さんの場合は、ヘッド解析でフェース角に大きな問題がありますね。

ヘッド挙動を解析するとインパクトでフェースが大きく開いている

インパクトの瞬間のフェース向きは、インサイドアウトの軌道に対して7度以上開いています。ドライバーの軌道自体は、インサイドアウト&アッパー軌道で理想的なデータですが、その軌道に対しフェースが大きく開いているのが問題ですね。通常、スライスが長く続くと左に引っ張ろうとしてアウトサイドイン軌道に陥りやすいですが、軌道はとても良い感じです。テークバックでフェースの向きを管理するコツさえつかめば、大きく改善すると思いますよ。

シャフトの動きを見ると「リストターン比率」が高く、リストワークを多く使うタイプ

それと必ずこの解析でチェックするのが、スイングタイプです。2つのタイプに大別でき、それはフェースの開閉を抑えた方が良いボディターンタイプと、ある程度フェースの開閉を生かしたほうが良いリストターンタイプになります。三村さんはリストターンタイプなので、それに合ったレッスンをすることで上達スピードが上がります。ネット上には様々なレッスン動画がありますが、そもそも自分のタイプが分からないとものすごく遠回りしてしまう危険があるんです。

シャフトクロスからのスライスを直すための練習法

脱力したときに左手の甲が飛球線方向を向くのが「リストターンタイプ」

自分のスイングタイプを判別するには、腕を脱力して垂らした状態の左手甲の向きをチェックします。体の正面方向を向く人はボディターンタイプ、三村さんのように飛球線方向を向く人はリストターンタイプです。リストターンタイプの人がボディーターンの動きに取り組むと、球が全然つかまらなくなります。リストターンタイプの人は、必然的にテークバックで左腕の内旋量が大きくなるので、フェースが開きやすい。開いたフェースを戻すために、適切なリストワークが必要なのです。

森田理香子プロ(右)と比較して、ハーフウェイバックのヘッド位置がかなり低い

三村さんはリストターンタイプにもかかわらず、テークバックでフェースが閉じる動きになっています。コックが入らずヘッドが低く上がっていき、トップでは左手首が甲側に折れてヘッドの重みを支える形になります。左手首が甲側に折れるため、どこまででもクラブが回ってしまいます。ですから、お悩みでお話していた通り、どこまで上げたらいいのかが分からなくなってしまうのです。

テークバックでは綱を手前に引くように右手を使う

改善するためのポイントは右手です。正面にある綱を握って手前に引くイメージで、テークバックで右手を使っていきます。右手でクラブを引き上げつつ、右手のひらが上を向いていく感じです。この意識で上げると、フェースは適度に開きながら、なおかつヘッドも上昇していきます。左手の甲が手のひら側に引っ張られるので甲側に折れることはなく、この状態で最大限上げられるところが理想的なトップの形となります。ダウンスイングでは何も意識しなくても自然とフェースの開きが抑えられ、大きく右へ曲がる球がなくなっていくはずです。

では、今回のレッスンを動画でおさらいしましょう。

動画:シャフトクロス⇒スライスを直す右手の使い方【サイエンスフィット】動画はオリジナルサイトでご覧ください

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