初打ち上げ3度目延期 串本のロケット、「夏ごろ目指す」

初号機の発射時期が延期されることになった「スペースポート紀伊」(昨年12月、和歌山県串本町田原で)

 和歌山県串本町田原の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン(東京都)は31日、今年2月末ごろを目指すとしていた初号機の発射時期を延期し「本年夏ごろを目指す」との方針を明らかにした。同社は、世界情勢などの影響で海外からロケットの部品を調達できなかったと説明。初号機発射の延期は3度目となる。

 下宏副知事を会長、串本町と那智勝浦町の両町長を副会長とし、新宮署長や地元の消防長、観光協会長、商工会長、交通機関代表者ら計20人が会員となって構成している「スペースポート紀伊周辺地域協議会」の臨時総会が同日、串本町内のホテルであり、スペースワンの阿部耕三取締役(44)が説明した。

 阿部取締役は「本当に申し訳ないが、コロナ禍や世界的な物流の混乱などによって当初想定していた時期に海外からロケットの部品を調達することができなくなった」と説明。今年2月末ごろとしていた初号機発射について「困難な状況になった。初号機打ち上げについては本年夏ごろを目指していきたいと考えているが、3月中の部品の調達状況を見極めた上で4月ごろに改めて説明をさせていただきたい」と述べた。

 スペースワンは初号機発射時期について当初は2021年度中としていたが、21年12月に開かれた協議会の臨時総会で22年末ごろを目指すと延期を発表。昨年10月にあった協議会の臨時総会では再び延期し、今年2月末ごろを目指すとの方針を示していた。

 会議後、串本町の田嶋勝正町長は「残念だが、前向きに打ち上げを待ちたい。町民も期待しているので落胆するところもあると思う。串本だけでなく和歌山全体の将来を担う大きな事業なので、一喜一憂せずじっくり待つということを町民にも説明したい」、那智勝浦町の堀順一郎町長も「非常に残念だが、社会情勢を見ると仕方ない。万全な体制で臨めるようにしたい」と述べた。

スペースポート紀伊周辺地域協議会の臨時総会で、あいさつをする会長の下宏副知事(31日、和歌山県串本町サンゴ台で)

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