羽田みらい開発(株) 統括責任者 鹿島建設(株)  開発事業本部 事業部長   加藤 篤史さん

「羽田空港跡地第1ゾーン」に20207月に誕生した「HANEDA INNOVATION CITY(以下、HICity)」。「新産業創造・発信拠点」として地域経済の活性化、国際競争力の強化を実現し、「先端」と「文化」の2つの産業を柱に日本のものづくり技術や国内各地域の魅力を発信しております。羽田みらい開発() 統括責任者である鹿島建設()開発事業本部 事業部長の加藤 篤史さんにお話を伺いました。(編集部 楢橋里彩)

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プロフィール

1991年4月、鹿島建設㈱開発事業本部に入社以来、主に国内オフィス・住宅物件の新規開発に従事。2017年からHICityの開発推進の為に設立した特別目的会社・「羽田みらい開発株式会社」の統括責任者を務める。

――施設の紹介と事業内容についてご紹介下さい。

HICityは、日本の玄関口である羽田空港に隣接し、「先端」と「文化」の二つのコア産業の融合をテーマに、世界をリードする国際産業拠点の集積と日本独自の、食や音楽、アートや習慣などの文化の発信拠点となることを目指す大規模複合施設であり、具体的には以下の施設で構成されています。

-2020年開業-

・㈱デンソーによる自動運転技術等の研究開発、実証等を行う「先端モビリティセンター」

・最大620名収容可能な多機能ホール、260名まで収容可能な5つのカンファレンスルームをワンフロアに完備した「コングレスクエア羽田」

・全259室、様々なタイプの客室と大浴場を導入した京急グループのビジネスホテル「京急EXイン 羽田イノベーションシティ」

・国内最大級の約3,000人収容可能、ジャパンポップカルチャーを発信するライブホール「Zepp Haneda(TOKYO)」

・無料で利用可能、羽田空港を臨む絶景ポイント「足湯スカイデッキ」

-2021年開業-

・多様な人々の産業交流を育み、世界と直結したオープンイノベーション拠点

「PiO PARK」

-2022年開業-

・川崎重工業(株)によるコックもウェイターも全てがロボットの未来型レストラン「AI_SCAPE」

・㈱ぐるなびによる日本食発信レストラン「ぐるなびフードホール・ワイ」

-2023年度開業予定-

・藤田医科大学による最先端の健診システムから再生医療、先端治療法の開発まで行う拠点「藤田医科大学東京先端医療研究センター」

・全237室、オールデイダイニングを併設したJR東日本グループのラグジュアリーホテル「ホテルメトロポリタン羽田」

敷地面積5.9ha、延床面積が13万m²を超える大規模複合施設

事業の内容については、鹿島建設㈱を代表とする有力企業グループ9社(※)が事業を推進する為の特別目的会社(羽田みらい開発株式会社)を設立のうえ、大田区が所有する羽田空港近接の土地に50年間の定期借地権を設定し、特別目的会社が土地を賃借のうえ大規模複合施設の開発・運営を行う官民連携事業となっています。

(※)鹿島建設株式会社、大和ハウス工業株式会社、京浜急行電鉄株式会社、日本空港ビルデング株式会社、空港施設株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京モノレール株式会社、野村不動産パートナーズ株式会社、富士フイルム株式会社の9社

――羽田に建設した背景についてご紹介ください。

HICityが所在する当敷地は、羽田空港の沖合展開事業及び再拡張事業の結果として発生した跡地の一部であることから「羽田空港跡地第1ゾーン」と名付けられました。国及び周辺自治体により策定された基本計画・推進計画・整備方針等における土地利用構想では、高度なものづくり技術を有する中小企業等が集積し、24時間国際拠点空港である羽田空港に隣接する立地を活かして、産業・文化交流機能や産業支援機能を土地利用の方向性とすることが位置づけられました。

2016年10月には、土地所有者である大田区が、本事業の整備・運営を行う事業者を公募。2017年5月に、鹿島建設㈱を代表企業とするグループを事業予定者として決定し、区の掲げる「新産業創造・発信拠点」の開発に着手しました。2020年7月には、全体延床面積約130,000㎡の約44%に相当するエリアを先行開業、2023年度のグランドオープン(全体開業)を目指し、現在残りの施設を開発・施工中となっています。

夜景スポットとしても人気が高まるHICityではショッピングやグルメのほかライブイベントなども開催

――HICityには医療研究センターをはじめ、様々な先端産業に関わる施設が見受けられますが、今後注力する分野について教えてください。

ヘルスケア、ロボティクス、モビリティの3分野に注力し、様々な取組を進めています。施設としては、現在建設中の「先端医療研究センター」、コックもウェイターも全てがロボットの未来型レストラン「AI_SCAPE」、自動運転技術等の研究開発拠点である「先端モビリティセンター」、などが挙げられます。

――まさに羽田エリアから世界に向けて、社会変革イノベーションの創造が進んでいくということですね。ほかにもモビリティを身近に体験できる施設はありますか。

当施設内では自動運転バスの定常運行を実施しており、来街者は無料で乗車できるため、誰でも気軽に自動運転技術を体験することができます。また、2021年12月からは、HICityと羽田空港第3ターミナルまでの公道を含む往復ルートでの実証走行を定期的に実施しています。

※HICityと羽田空港第3ターミナル間での実証走行に関する最新情報はこちら

飛行機を見上げながら足湯を堪能できる「足湯スカイデッキ」(入場時間:午前5時30分~午後11時30分)

――海外からの企業誘致への期待についてもお聞かせください。

ご入居頂きたい対象企業様について、当施設側から特段の制約は設けておりません。但し、当施設の特性を踏まえますと、国内外の先端産業、具体的にはスマートシティ、モビリティ、ロボティクス、先端医療・ヘルスケアといった分野の研究・開発に注力する企業様とは、比較的相性が良いのではないかと思われます。もちろん、中国や香港の企業様のうち、日本に拠点を開きたい、あるいは自社の優れた技術を紹介するショールームをお持ちになりたい、といったニーズがあれば、羽田空港近接、海外とのアクセス性抜群の当施設への入居を是非ともご検討くださると嬉しいですね。

※HANEDA INNOVATION CITY 公式ホームページはこちら

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