V長崎 熾烈の“守護神争い” 富澤、波多野、原田が「横一線」

守護神争いを繰り広げる(左から)富澤、波多野、原田=沖縄県内

 サッカーJ2の開幕を18日に控え、上位候補に挙げられているV・ファーレン長崎のGKレギュラー争いが熾烈(しれつ)。昨季42試合中33試合に出場した富澤雅也(29)をはじめ、J1のFC東京から加入した波多野豪(24)、昨年8月にJ2デビューを果たした原田岳(24)の3人が、高いレベルで“正守護神”の座を争っている。
 今季はGKコーチもランクアップ。昨季J1で戦った清水から招き入れた石野智顕氏(46)は、日本代表の権田修一(33)やシュミット・ダニエル(30)らを指導した経歴を持ち、練習にいい緊張感を生み出している。現時点で3人を「横一線」と評価し、ステップワークなどを細かく指南。一つ一つのプレーに対してGK間で意見を出し合う場も設けており、選手たちは充実した環境でレベルアップしている。
 キャンプの練習試合では3人全員が出場。それぞれ太い声を響かせて味方に指示を出した。攻守の安定を後方から支え、沖縄で公開された2試合では失点シーン以外に危ない場面はなかった。
 大卒後に加入して8年目、今ではチーム最古参となった富澤は「それぞれに特徴があって、監督が決めること」と言いながらも「常にいい状態を保つことが使われる絶対条件」と長崎のゴールマウスを譲る気はない。
 「環境を変えてチャレンジしたかった」と意気込む波多野は198センチの長身で、2021年東京五輪世代の日本代表に選ばれたこともある。ムードメーカーとしてピッチ外での存在感も既に大きい。
 その波多野と同い年の原田は「一番身長が低い立場になった。守備範囲など違いを見せていく」と2人に割って入る覚悟だ。
 V長崎は例年、GKを4人体制にしていることを踏まえれば、さらなる加入発表の可能性もあり得る。石野コーチは「失点しないオーラを出すだけでなく、チームを支えられる人間性が大事」と誰にゴールマウスを委ねるかを見極めている。


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