550万人超の観光客、押し寄せた川越 街の回復鮮明、イベント復活で急増 さらに今後、鉄道もタッグへ

蔵造りの町並みのシンボル「時の鐘」

 埼玉県川越市は30日、2022年の1年間に市内を訪れた入込観光客数が550万9299人となり、392万84人の21年と比べ158万9215人増えた、と発表した。新型コロナウイルス感染拡大による観光客数落ち込みからの回復が鮮明になった。

 調査は21年以降、スマートフォンの位置情報を活用して集計している。調査員を市内の主要4エリアに派遣して数えた記録などを基に算出してきた20年までとの単純な比較はできないが、コロナ禍前の19年には775万7千人が来訪。以前の水準には届いていないものの、市内では着実に客足が戻りつつある。

 月別では、3年ぶりに川越まつりが開かれた昨年10月の観光客数が101万514人。34万4221人だった21年と比べ、66万6293人増えた。そのほかの月も、2月を除く全てで前年を上回った。市観光課は「川越まつりをはじめとするイベントが復活してきたため、観光客の回復につながった」とみる。

 外国人の入込観光客数(推計、千人未満切り捨て)は、21年の2万7千人と比べ、7万2千人増の9万9千人だった。19年の31万3千人の3分の1以下にとどまってはいるが、こちらも大きく改善。推計の根拠としている市内観光案内所を利用した外国人の数は、個人観光客を含むほぼ全ての入国制限が約2年半ぶりに解除された昨年10月以降、急増に転じた。9月は339人だったが、10月は788人、11月は1322人、12月は2086人と大幅に増加。同課は一層の回復を図るため、「コロナ禍以前のような積極的なPRはまだ難しいが、市内に路線を持つ鉄道会社などと連携した呼び込み策に取り組みたい」としている。

 政府は5月8日から、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定。観光は市の主要産業の一つであることから、同課は「今年はさらに多くの観光客に訪れていただきたい」と期待している。

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