5万年ぶり地球に最接近「ZTF彗星」いつまで見える? 方角や時間帯は

写真を拡大 2023年1月31日に国立天文台三鷹キャンパスで撮影されたZTF彗星(国立天文台より引用)
写真を拡大 左上から中程に続く○印が21時頃のZTF彗星の位置(国立天文台より引用)

 2022年に発見された新彗星「ZTF(ズィーティーエフ)彗星」が2023年1月から2月にかけて地球に近づき、見頃を迎える。最接近するのは2月2日未明で、この前後で明るく見えると予想される。見える方角や時間帯を国立天文台などの情報を基にまとめた。

ZTF彗星とは

 ZTF彗星は2022年3月2日に、アメリカのプロジェクトでの観測で発見された。彗星の軌道は、元々は放物線にごく近い楕円軌道を描いており、計算上では、前回は5万年ほど前に太陽に近づいたと考えられる。現在の軌道は、惑星の引力の影響で放物線にごく近い双曲線軌道に変化していて、将来的には太陽系から離れてしまい、2度と帰ってこないと考えられている。

接近するのは5万年ぶり

 地球との接近は約5万年ぶりで、最接近するのは2月2日未明。地球から約4200万キロメートルまで近づき、5等級ほどの明るさになる。天の川が見えるような十分に暗い空であれば、肉眼でもぼんやりとした姿が観測できそうだ。市街地では肉眼で観察することは難しそうだが、双眼鏡を使うともう少し見やすくなり、ぼんやりとしていながらも形のいびつさや尾が少々伸びている様子などが見える可能性がある。適切に設定したカメラで撮影すると、その姿を写すことができそうだ。

観測できる方角や時間帯

 2月に入ると、夕方、空が暗くなった頃にはすでに北の高い空にZTF彗星は見える。そのため、夕方から宵の時間帯が観察には好条件。特に2月8日前後の宵の時間帯には、ZTF彗星の位置はほぼ天頂となり、好条件で観察できるという。

 また、ZTF彗星は2月にいくつかの明るい1等星や惑星に接近する。2月5日から6日にはぎょしゃ座のカペラ、2月11日には火星、2月14日から15日にはおうし座のアルデバランの近くに見える。これらの日の前後には、明るい星が目印となりそうだ。

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観測できるのはいつまで

 2月5日頃から彗星が地球から遠ざかるため、少しずつ暗くなり、2月7日には約5.5等、2月10日には約6等、2月14日には約6.5等になると予想される。彗星の明るさが予想通りに推移すれば、2月10日頃からは暗い空でも肉眼では見えづらくなる。双眼鏡や望遠鏡を使えば、もうしばらくの間見られるという。

観察のポイント

 15分ほど暗さに目を慣らしてから観察しよう。彗星は、肉眼では淡くぼんやりとした光の塊のように見える天体で、明るくしっかりとした形には見えない。このため、市街地の空では、空の明るさにまぎれてしまい、肉眼ではとても見えづらい状態になる。また、薄雲やもやがあるような空だったり、月明かりがあったりする場合も見えづらくなってしまう。

 このようなときには、双眼鏡を使うと見つけやすくなるので、双眼鏡を持っている方は、使ってみてほしい。また、観察するときには、彗星の見える方角や星座の中での位置などを確認しておくとよい。寒い時期なので、防寒対策をしっかりして観測に臨もう。

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