2023年末で廃止のジュニアNISAはいまからでも始めるべき? メリットと注意点を解説

現行のNISAには、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があります。2023年末、これらのNISAでの新規買付が終了し、2024年からは改正後のNISAを利用して非課税の投資ができるようになります。改正後のNISAは一般NISAとつみたてNISAを合わせたような制度です(本記事では「統合NISA」と呼びます)。

一方で、ジュニアNISAは統合NISAの発表前からすでに「2023年末で廃止」が決まっていました。一般NISA・つみたてNISA同様、ジュニアNISAで投資できるのも2023年が最後となるのですが、はたしてジュニアNISAはいまからでも始めるべきなのでしょうか。今回は、ジュニアNISAを始めるメリットと注意点を解説します。


2024年以降、ジュニアNISAはどう改正される?

ジュニアNISAは、日本に住む0歳から17歳までの未成年者が利用できる非課税投資制度です。通常、投資の運用益には20.315%の税金がかかりますが、ジュニアNISA口座での運用益には税金がかからないため、お金を効率よく増やすことができます。

●ジュニアNISAの概要

ジュニアNISAを利用できる人は、2022年の成人年齢引き下げの影響により、2023年は0歳から17歳まで(2023年1月1日時点で17歳以下の人)となりました。しかし、2023年末をもって新規に投資できる期間は終了。2024年以降は新規の投資ができなくなります。

ジュニアNISAは、一般NISAと同じところが多々あります。

__・非課税期間は最長5年間
・上場株式・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)・投資信託に投資できる
・一括買付も積み立ても可能__

年間投資上限額こそ80万円と一般NISAの3分の2ですが、ジュニアNISAでも一般NISAと同様の投資ができる点はメリットといえるでしょう。

一般NISAやつみたてNISAとは違い、ジュニアNISAには資産の払い出し制限があります。ジュニアNISAの資産は、2023年時点では、18歳になるまで原則として引き出すことができません。しかし、ジュニアNISAの制度が廃止される2024年からは、この制限がなくなります。2023年末までにジュニアNISAで投資した資産は、子どもが18歳になっていなくても引き出せるようになります。

もっとも、2023年末でジュニアNISAの投資可能期間が終わるからといって、すぐに資産を売却する必要はありません。2024年以降に非課税期間が終わったジュニアNISA口座の資産は、順次「継続管理勘定」という、ロールオーバー(NISAの非課税期間が終わった後、資産を新たな非課税投資枠に移すこと)専用の勘定に移して運用を続けることができるからです。

継続管理勘定では、新規の投資はできませんが、18歳になるまで(1月1日時点で18歳である年の前年12月31日まで) 、投資した商品を非課税で保有し続けることができます。ロールオーバー可能な金額に上限はなく、値上がりによって時価が80万円超になっている場合も、すべて継続管理勘定に移すことができます。

なお、当初はジュニアNISAの資産をロールオーバーするときに毎年手続きが必要で、手続きを忘れると資産が課税口座(特定口座または一般口座)に移されてしまうことになっていました。しかし、2023年度(令和5年度)税制改正大綱に、このロールオーバーの手続きをしなくても自動的に継続管理勘定に資産が移されるようになる旨が盛り込まれました。これによって、「手続きをうっかり忘れて課税口座に資産が移ってしまった」といったことは防げることになりました。

2023年のジュニアNISAは利用した方がいい?

2023年からジュニアNISAを利用しはじめれば、年間80万円までの投資で得られた利益を最長5年間非課税にできるうえ、5年経過後も継続管理勘定に資産を移して、18歳になるまで非課税で運用を続けることができます。

しかし筆者は、ジュニアNISAをあえて2023年だけ利用する必要はないと考えます。なぜなら、ジュニアNISAは使い勝手が悪いからです。

上でも紹介したように、ジュニアNISAの資産は2024年以降、未成年でも引き出せるようになります。しかし、資産を引き出す場合は「一部だけ引き出す」ということができず、資産を一度にすべて払い出さなければなりません。

また、ジュニアNISAの資産は、成人になったときに一般NISAにロールオーバーできる仕組みがありましたが、一般NISAで新規に投資できる期間も2023年末で終了するため、ジュニアNISAの資産を一般NISAに移すことはできなくなります。
「それならば、統合NISAに移せばいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、統合NISAに資産をロールオーバーするような仕組みもありません。

これらは、ジュニアNISAを利用する際の大きな注意点といえるでしょう。

統合NISAには、現行NISAにはないメリットとして
__・非課税期間が無期限(いつまででも非課税で資産を持ち続けられる)
・年間投資枠拡大(つみたて投資枠年120万円・成長投資枠年240万円)
・売却枠の再利用が可能__
があります。

統合NISAは、ジュニアNISAと違っていつまで保有していても非課税ですし、投資できる金額もジュニアNISAより多くできます。そのうえ、資産は一部だけでも自由に引き出すことができますし、売却枠の再利用も可能です。

ですから、2023年の1年だけジュニアNISAを利用するのであれば、統合NISAを待って2024年から投資した方がよいでしょう。

一方、すでにジュニアNISAを利用している人や、資金に十分な余裕があってジュニアNISAも活用できる人ならば、これまでどおりジュニアNISAを活用してもよいでしょう。ジュニアNISAの資産は制度終了後もなるべくそのまま保有を続け、子どもが18歳になるまで運用を続けましょう。長く投資を続けるほど、複利の効果を生かして堅実に増やす期待ができます。

2024年に始まる統合NISAに先立ち、2023年のジュニアNISAを今から始めるべきかについてお話ししてきました。ジュニアNISAは確かに非課税で投資ができる制度ではありますが、資産を一部だけ売却することができず、全額を売却しなければならない点は不便です。2023年の1年だけでもジュニアNISAを利用しようと考えていた人は、統合NISAを待ってから投資してもよいでしょう。

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