非行の反省と成人としての責任を… 「特定少年」 少年法改正で見直された矯正教育の現場 広島少年院

去年、民法の改正で18歳と19歳は「成人」となりました。ただ、非行や犯罪をした20歳未満の人たちは、「特定少年」として少年法が適用されます。その特定少年たちが収容されている少年院でも、彼らに「成人」や「社会人」としての意識を高めてもらうため、新たなプログラムに取り組んでいます。

東広島市にある広島少年院です。15歳から20歳までの42人が収容されています(取材時の1月26日時点)。

非行や犯罪をした少年の更生を促す少年院は、中国地方には3つあり、そのうち2つが広島にあります。広島少年院では、短期であれば11週から20週、長期であれば11か月など、期間を定めて少年たちの教育にあたります。

内容は、1人ひとりの特性に応じて組まれていますが、この内容が国レベルで去年、見直されました。きっかけは、少年法の改正です。

18歳と19歳は民法上は成年ですが、少年法では「特定少年」と位置づけられました。これに合わせ、少年院では特定少年に対して、成人としての自覚と責任、社会参加に必要な知識を身に着けてもらおうと、教育内容を見直しました。

新たなプログラムでは、少年たちが主体的に考えて判断する機会を増やす職業指導なども行われています。

少年
「販売促進物の作り方とレシピ本の作り方、購入してくださった方へのアンケートの取り方についてこれから話し合っていく」

この日は、野菜を作るコースの少年7人が、冬に収穫する野菜を販売する際に使うポップを手書きで作るか、パソコンで作るかを意見を出しながら決めていました。これまでのプログラムでは、つくった野菜は少年院の給食への利用に留まっていたということですが、仕事や社会とのつながりを認識してもらおうと、販売方法を考えるプログラムに変わりました。

少年
「昨年は夏と秋に販売したが、そのときにはパソコンで売り切れの展示物や、広島少年院を紹介するものを作っていて、来年・再来年と通年で使える物になるので、それを冬だけ手づくりだとアンバランスになると思う」

少年
「挙手をお願いします」

広島少年院 大熊直人 院長
「彼らの課題はいろいろあります。規範意識が少ないことや、あるいはコミュニケーションに課題があったり、仕事を続けられなかったり。そして何よりも自分が犯した犯罪や非行で傷つけた被害者にしっかり謝ってやっていくことが求められている」

広島少年院は、「少年の課題を1つずつ解決して二度と非行や犯罪をしない人間に育てていく」としています。

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