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2023年2月1日に公開された動画のテーマは……2021衆院選は合憲!補欠選挙は4月確定
ゲストに社会学者の西田亮介氏をお招きし、1票の格差問題に関する最高裁判決とそれに伴い確定した3つの補欠選挙について語っていただきました。
1票の格差2.08倍でも合憲の理由とは?
【このトピックのポイント】
・1票の格差問題をめぐり2021年10月の衆院選について最高裁は合憲の判断を示す。区割り変更などの取り組みを評価したか
・1票の格差解消には区割りの見直しや議員の定数増などの方法があるが政治家の事情や国民感情から一足飛びの解消は難しい
・最高裁判決の確定により4月23日に山口4区・和歌山1区、千葉5区で補欠選挙実施へ。いずれも候補者擁立の動きに注目が集まる
2021年衆院選 1票の格差問題「合憲」最高裁判決
2021年10月の衆院選で1票の格差が最大で2.08倍だったことについて、2つの弁護士グループが全国で訴えを起こしていました。
それに対し最高裁は1月25日に「憲法に違反しない」と合憲の判断を示し、選挙無効の訴えを退けました。
1票の格差は人口の偏りによって発生します。人口の多い都市部では1票の価値が低くなり、人口の少ない地方では1票の価値が高くなり格差が発生してしまうのです。
この問題については衆参はどちらも1票の格差を公平にする政策をとってきました。10増10減の区割り変更や特定枠制度がそれにあたります。
2021年衆院選の1票の格差は2.08倍で2017年の1.98倍と比較すると数字としては増えています。しかし「一連の取り組みは評価でき恒常的に改善が期待できるため、今回の最高裁では合憲の判断がなされた」というのが西田氏の見立てです。
これまでの衆院選における1票の格差の推移をみてみると、2017年は1.98倍で合憲とされていますが2014年は2.13倍、2012年は2.43倍、2009年は2.30倍となっており、いずれも違憲状態の判決が出ています。
今回の2.08倍という数字は合憲と判断されているものの、これまでの違憲状態とあまり変わらない印象が拭えません。
1票の格差を抜本的に解消する方法について千葉氏が質問したところ、西田氏は2つの方法を挙げました。
1つは都市部の議席を増やして地方の議席を減らすこと。
これは現在も行われており格差についてやや改善は見られるものの、格差を大きく解消するところまでは至っていません。政治家にとっては地盤が割れるという不都合もあるため、積極的になれないという事情も考えられます。
もう1つは国会の議席を増やし、増加分を都市部に配分する方法があります。
しかし、国会議員の定数については削減の動きもあり、この議論を国民が受け入れられるかどうかは難しいところです。
山口・和歌山・千葉で衆院選補欠選挙 4月23日実施へ
今回、最高裁の判決が出たことで下記の3つの衆院補欠選挙が4月23日に行われることになりました。
・山口4区(安倍元首相の死去に伴う)
・和歌山1区(岸本現和歌山県知事の辞職に伴う)
・千葉5区(薗浦氏の辞職に伴う)
なかでも千葉5区は薗浦氏が政治資金規正法違反、いわゆる「政治とカネ」をめぐる問題で辞職したということもあり自民党の候補者擁立が難航しているようです。
西田氏は「自民党は候補者擁立に困ると公募を行って市民派選挙を装うのがセオリー」とコメント。実際に自民党千葉県連では公募が始まっているとのことです。
一方で野党は各党が候補者擁立の動きを見せています。議席獲得の好機ではあるものの、候補者をうまく統一できなければ票が割れてチャンスを逃してしまうことになりかねません。
千葉氏「無所属で有名な方が出たらその方がチャンスを掴んでいく可能性もありそう」
山口4区では下関市議の吉田氏が立候補を表明。和歌山1区ではまだ候補者が決まっていません。
3つの補欠選挙における候補者擁立の動きが今後の注目ポイントとなりそうです。
動画本編はこちら!
1票の格差問題で最高裁判決確定!2.08倍でなぜ合憲?4月には補欠選挙も
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