RCEP締結1年、韓国は対日貿易で最も活用してた...事実上の日韓FTA?

日中韓およびASEAN諸国などアジア15カ国の間で結ばれたRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の発効から1年が経ち、その効果を分析した結果、韓国がRCEPを活用した輸出は33億ドル、輸入は56億ドルを記録したと集計された。特に対日貿易での効果が大きかった。

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1日、韓国関税庁はRCEP発効1年を迎え、『輸出入物品の協定活用実績』報告書を発表し、協定を活用した輸出は33億ドル、輸入は56億ドルを記録し、韓国の輸出入企業は対日本輸出入でRCEPを最も多く活用したと明らかにした。

国別でみると、輸出では対日本(67.3%)、対中国(27.7%)、対タイ(2.4%)など上位3カ国に対する活用実績が97.4%を占めた。

輸入の場合、対日本(48.3%)、対中国(38.7%)、対タイ(11.5%)など上位3カ国に対する活用実績が98.5%を占めた。

対日本の主要品目は硫酸ニッケル(1.4億ドル)・プロピレンポリマー(1.4億ドル)などバッテリー・プラスチックの原料であり、主な輸入品目はゴム原料(キシレン、2.5億ドル)および他の石油粗製品(1.9億ドル)となった。

対中国の主要品目は、主要輸出品目はバッテリー素材であるリチウム化合物(6.9億ドル)であり、主要輸入品目は酸化リチウム・水酸化リチウム(15.9億ドル)だった。

対タイの主要輸出品目は金・ワカメなど海藻類(0.1億ドル)、ポリエチレン(0.1億ドル)であり、主要輸入品目は他の石油調製品(5.6億ドル)となった。

韓国関税庁はRCEPが日本との初の自由貿易協定ということもあり、対日本貿易を中心に特恵関税適用による価格競争力確保のため、韓国輸出入企業のRCEP活用が急速に拡大しているという分析を行っている。

一方で他国に対する活用実績が高くないのは、韓・ASEAN間FTAなど既存に締結されたFTAを活用する企業が多いためだ。

韓国関税庁は、硫酸ニッケル・酸化リチウム・水酸化リチウムなど電池製造に使用される原料の活用実績が高いのは、これらの品目の関税率がRCEPで0%に下がったことによるものだと説明した。

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