佐賀空港ルート案は「困難」 新幹線長崎 未着工区間 与党検討委・別経路検討する可能性示す

空港ルートの再検証結果が報告された与党検討委=衆院第2議員会館

 九州新幹線長崎ルートで未着工となっている佐賀県区間(新鳥栖-武雄温泉)のルート案の一つ佐賀空港を経由するルートについて、鉄道・運輸機構は1日、トンネル掘削は技術的に可能だが、地盤沈下の恐れがあり「現実的な選択肢とはなり得ない」とする再検証結果を与党検討委員会に報告。検討委は「想定した空港ルート(の建設)は困難」としたが、空港周辺の別経路を検討する可能性も示した。

 東京都内で開かれた非公開の会合後、森山裕委員長が記者団に検証結果を説明。有明海沿岸を経由する空港ルートは筑後川河口などを横断する区間が難所とされ、検証作業では構造形式として(1)橋梁(きょうりょう)(2)海底に溝を掘って構造体を埋め込む沈埋(ちんまい)トンネル(3)専用の掘削機で軟弱地盤を安定して掘り進むシールドトンネル-について技術面や安全性などを評価。橋梁と沈埋トンネルは空港周辺の高さ制限や水深の浅さ、漁業への影響などで困難と判断。シールドトンネルは技術的に可能だが、河口付近の軟弱地盤で「不等沈下」と呼ばれる不均等な沈み込みが構造物に発生し、高速走行に支障が生じる恐れがあるとして「選択肢とはなり得ない」と判断した。
 会合では、空港ルートを巡り、河口からさかのぼって空港周辺の高さ制限にかからない区間を通る経路の案が出たという。森山委員長は「それが空港ルートと言えるかどうかだが、地元の意見が集約され提案があれば、検討するのはやぶさかではない」と話した。
 国交省はこれまで未着工区間を巡るルート別の概算建設費を▽佐賀駅ルート約6200億円▽佐賀北部ルート約5700億~約6200億円▽空港ルート約1兆1300億円-と試算するなどし、整備効果は佐賀駅ルートが「適切」と提示。これに対し佐賀県側は「佐賀駅ルートにこだわらない議論」を注文し、空港ルートを「一考に値する」としていた。


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