PFAS、自治体任せの日本 米国は厳格化の動き加速 沖縄・農業用水から検出

 沖縄市池原の農業用地下水で環境省の暫定指針値を超える量が検出された有機フッ素化合物(PFAS)の一種「PFOA、PFOS」の対応を巡っては、県や市町村など自治体任せになっているのが現状だ。環境省は暫定指針値を設定しているが、正式な指針値設定に向けた議論は始まったばかり。水道水や農業用水など用途に応じて所管する省庁も異なり、国の明確な基準の策定にも至っていない。一方、米国では基準を厳格化する動きや研究が進む。

 環境省は1月30日、PFASについて審議する「総合戦略検討専門家会議」の初会議を開いた。同省と厚生労働省が同24日に初開催した有識者会議での議論も踏まえ、総合的な戦略を検討していく方針。正式な指針値設定など、PFASの取り扱いについてようやく議論が本格化した。

 一方で米国では、PFAS規制強化の動きが急速に進む。米環境保護庁(EPA)は昨年6月、PFOSとPFOAについて、飲料水として生涯摂取し続けてもいい濃度を表す「生涯健康勧告値」を大幅に引き下げた。

 EPAは2021年にPFAS汚染除去に向けた「戦略ロードマップ」を策定した。水道水の基準厳格化を実現するため、農業用水なども含めた各分野での規制を強化する方向で研究が進んでいる。

 (安里洋輔、島袋良太)

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