物価高騰 岡山県74億円収支不足 23年度当初予算見通し 歳出増大

 岡山県は2日、2023年度当初予算編成の収支見通しを発表した。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ企業業績の回復で税収が上向いた一方、物価高騰に伴って歳出が増大し、現時点で74億円の収支不足が生じたとしている。予算要求段階でのマイナス収支は9年連続で、不足分は貯金に当たる財政調整基金を取り崩して対応する。

 収支見通しによると、1月13日に公表した23年度一般会計各部要求総額8019億円に対し、歳入総額は前年度当初予算比で5.0%(378億円)増の7945億円。不足額は前年度の67億円から7億円拡大した。県はこれを見越して22年度最終補正予算案の編成を1カ月前倒しして執行残を算定し、43億円まで目減りしていた財政調整基金を158億円まで積み増している。

 歳入の内訳は、全体の3割超を占める県税が11.2%(273億円)増の2708億円。このうち法人関係税は観光需要の回復を背景に、旅客運輸業などの収益が上向いたことから4.3%(24億円)増の602億円。国から消費税の一部が配分される地方消費税は13.6%(113億円)増の940億円と見積もった。

 臨時財政対策債を含む地方交付税は税収増の反動で、9.5%(185億円)減の1772億円。新型コロナ対策の経費が計上される国庫支出金は2.1%(24億円)減の1100億円となる見通し。借金に当たる県債は河川の改良復旧や県庁舎耐震化といった公共事業に対応するため521億円を発行する。

 伊原木隆太知事は記者会見で「社会保障関係費の累増もあって県財政は厳しい状況が続くが、喫緊の課題である少子化対策や脱炭素化などの事業をしっかりと予算化し、県の持続的な発展に全力で取り組んでいく」と述べた。

 県は15日に当初予算案を取りまとめ、20日開会予定の2月定例県議会に提出する。

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