支援金の不正受給 返還求める 岡山県、1社と1個人を提訴へ

岡山県庁

 岡山県は2日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた飲食店などに対する県独自の「飲食店等一時支援金」を受給資格がないのに受け取ったとして、いずれも倉敷市の有限会社1社と個人1人をそれぞれ相手取り、返還を求める訴えを岡山簡裁に起こす方針を明らかにした。請求額は同社が40万円、個人が20万円。同支援金を巡るトラブル発覚は初めてという。

 県議会産業労働警察委員会で報告した。提訴に踏み切った理由について県は「不交付の要件となる国の支援金と重複して受け取り、返還を求める再三の督促にも応じなかった」と説明している。

 県によると同社、個人はいずれも手がける事業の売り上げが減少したとして、2021年8月に支給を申請。給付後、国の「月次支援金」を受け取っていたことが判明した。県は同10月以降、督促状や催告書をそれぞれに計3回送付したものの、応じなかったとしている。同社と個人は無関係という。

 提訴は今月10日付の予定。県経営支援課は「コロナ禍で困った事業者の支えになればと始めた制度。公正さを保つことが重要で、厳正に対処したい」としている。

 一時支援金は、特定の月の売り上げが昨年か一昨年の同じ月より30%以上減少した飲食店などを支援する制度で、県が21年4月に創設した。

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