石橋静河が大正の文化にときめく「探偵ロマンス」。初共演の濱田岳は「随所に優しさを感じる方」

NHK総合の連続ドラマ「探偵ロマンス」(土曜午後10:00=NHK大阪放送局制作)で、村山隆子役を務める石橋静河が、役柄についてや、作品の見どころ語った。

濱田岳が主演を務める「探偵ロマンス」は、新進気鋭の脚本家・坪田文氏が書き下ろすオリジナル作品。1923年に作家デビューを果たした平井太郎(後の江戸川乱歩/濱田)を主人公に、作家デビュー100年という節目に“知られざる江戸川乱歩誕生秘話”を描き出すもの。ロマンスあり、笑いあり、涙あり、魂の叫びあり、アクションありの、今を生きる人々の心に響く珠玉のエンターテイメント活劇として、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」制作チームが届ける。

石橋が演じる隆子は、太郎がかつて働いていた造船所があった鳥羽の小学校教師。太郎が親愛を寄せる文通相手で、新しく小説を書くと、いつも隆子に送り、彼女の感想を心待ちにしている。

本作への出演が決定した際の心境を、石橋は「『探偵ロマンス』はフィクションですが、隆子さんは後の江戸川乱歩・太郎さんの奥さんとなる実在した人物。当時としては珍しく学校の先生をしていた女性でりんとしていたというお話を聞いて、それはすごく楽しみだなと思いました」と明かし、撮影に臨むにあたっては「今は女性の活躍がフィーチャーされる時代になってきているけど、大正時代にはかなりかっこいい女の人だったんだろうなと思いますし、演じるのもワクワクします。江戸川乱歩さんってミステリアスな方かなと想像していたので、まさか太郎さんのようなひょうひょうとしていて、しかもおとぼけな部分もある設定だとは(笑)。平井太郎さんという本名にも親近感が湧きました」と話す。

演じる隆子というキャラクターについては、「凛とした強い部分があり、腹が据わっている温かい人という印象」と語り、「太郎さんの才能にほれていて、私が一番のファンよ!という感じの、湿っぽさのない明るい強さがありますね。実際に、太郎さんの才能を引き出すプロデューサー的な存在だったともお聞きしました。隆子と太郎はあまりお互いの顔を見ているわけではないんです。特に太郎さん(笑)。太郎さんって、平気で隆子のことをその場に置いてどこかへ行ってしまうんですよ。私だったらしゅんとしますけど(笑)、隆子は『また行っちゃったわ』という感じで、どしっと構えているんです。とても広い視野で太郎を見ているんだろうなと思いました」と、隆子と太郎の関係も伝える。

そして、「私は今28歳。何も知らない『新人』でもなくて『若手』という状態からもちょっと抜けつつあるけれど、そんなにたくさん経験があるわけじゃない。いろんなことが変わっていく時代の中で、自分が中途半端な場所にいるような感覚が『探偵ロマンス』で描かれている太郎さんたちの青春と似ているような気もします。だから隆子の『私は私で行く』という生き方を見て、あ、それでいいんだと思えました。そう教えてくれた隆子に出会えてうれしいです」と役柄と自身を重ねる。

濱田とは本作が初共演。「やっぱり第一印象は『プロだな!』と感じました。本当に全体を見ていらっしゃってお芝居も的確だし、スタッフさんとも仲がいいから、自分のお芝居以外のことも周りと会話しながら進めていらして。大人だなあと思います。随所に優しさを感じる方ですね」と、その人柄や取り組み方に信頼を寄せる。

また、物語の舞台となっている大正時代の背景にも心ひかれている様子で、「街中のシーンでは洋装の人、洋装に羽織を合わせている人、着物のカップルなど和洋の文化が入り乱れているのが面白い! 私のときめきポイントです。洋装を素早く取り入れる人もいれば、そんな格好は絶対にしない!と思っている人もいるような時代のはざまというのが感じられて楽しいですね。『え! この服にこれを合わせるの!?』とか、『家のデザインはモダンだけど瓦屋根なんだな〜』とか、ワクワクしながら見ています」と声を弾ませた。

最後に、視聴者に向け、「謎解きのようなストーリーに、めくるめく展開。映像的にもすごく華やかですし、大正時代についての発見もたくさんあると思うので、そこも楽しんでいただきたいです。スペイン風邪が流行してちょっと不穏な空気が流れるという時代背景が、コロナ禍の今とぴったりと重なるのですが、そんな時代に隆子のような、りんとした女性や、不安に負けない人たちがいたということがすごく面白いし、勇気づけられると思います。落書きされた壁の中に、こそっと疫病封じの妖怪・アマビエが描かれているのも面白いところ。きっと美術さんの遊び心でしょうね。皆さんもよかったら探してみてください」と見どころを交えながら、メッセージを寄せている。

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