「北前船フォーラム」那覇で開幕 岡山からも財界や自治体関係者

「企業会員制度」の発足式であいさつする大森雅夫岡山市長

 江戸、明治期の日本の海運を担った「北前船」にちなみ、地域活性化や観光振興を図る「第32回北前船寄港地フォーラム」(沖縄県など実行委員会主催)が2日、那覇市で開幕した。3日のメインイベントに向けた前夜祭があり、全国の財界や自治体の関係者ら約300人が集った。活動から派生した企業の支援組織「企業会員制度」の発足式も関連行事として開かれた。

 フォーラムは、北前船ゆかりの地の交流や広域観光の促進を狙いに2007年スタート。鉄道や航空会社などでつくる一般社団法人・北前船交流拡大機構(東京)を軸に、自治体や経済団体が開いている。沖縄県は寄港地ではないが、江戸期に北海道の昆布が北前船を経由して当時の琉球王国に運ばれ、中国に輸出された歴史を踏まえ、初めて開催地になった。

 前夜祭には、次回(10月)開催地となる岡山県から大森雅夫岡山市長、松田久岡山商工会議所会頭ら約50人も出席。沖縄県の玉城デニー知事は昆布で“テープカット”を行い、「フォーラムを通じて食文化など沖縄の魅力に触れながら、交流を深めてほしい」と開幕を祝った。

 2日に発足した「企業会員制度」は、取り組みに賛同する企業が既設の自治体会員制度の会員(38県市町)との交流を通じて、地域活性化に向けたアイデアや技術を提案する。同機構の加盟社など約50社が会員で、今後参加企業を募る。

 発足式には約200人が参加し、自治体会員制度の共同会長を務める大森市長が「自治体の活性化に向け、企業との連携を強めたい。企業にとっても社会貢献につながるはずだ」とあいさつした。

 講演会もあり、瀬戸内市の武久顕也市長が同市へのふるさと納税者に市内で使える電子商品券を贈る活動などを紹介し、備前市の吉村武司市長は備前焼の魅力を海外に発信する取り組みについて話した。

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