フードロスの危機を地域の連携で防いだ。寒波の影響で1月27日の臨時休校を余儀なくされた大田原市若草中(生徒数313人)で、入荷を止められなかった肉や野菜など50キロ超の給食食材。大量廃棄の恐れがあったが、市内のフードバンクなど3団体に渡され有効活用された。加藤勝二(かとうかつじ)校長は「多くの人々の協力もありフードロスを防げた。地域のつながりに感謝している」と話した。
問題が発生したのは26日。市内では観測史上最低気温の氷点下16.4度を記録するほど冷え込んだ。寒波の影響は同校にも及び、水道設備が故障した。トイレなどが使えなくなる可能性があったため、27日の臨時休校を決定した。
困ったのが給食の食材だ。同日の給食の献立はプルコギや野菜のナムルなど。使う当てのない葉物野菜や豚肉などが大量に届いてしまう。
加藤校長は「廃棄以外の道を探らなければならない」との思いで知恵を絞った。PTA会長に連絡をした上で、市社会福祉協議会に協力を仰いだ。
当日朝吉報が届いた。市社協から連絡を受けた、NPO法人キャリアコーチ、一般社団法人えんがお、フードバンク県北の3団体が引き取り先に手を挙げた。同校は、豚肉17キロ、もやし20キロ、ホウレン草8キロ、チンゲン菜6キロを無事引き渡すことができた。
NPO法人キャリアコーチの高木雄大(たかぎゆうだい)理事長(39)は「新鮮な野菜を頂くのは珍しく、ありがたい」と感謝。食材は2月4日に同法人主催の「あおぞら食堂」で無償提供されるビビンバの具材に利用される予定だ。他2団体でも生活困窮者や高齢者に配布するなど有効活用する。
新型コロナウイルス禍での経験も生きた。急きょの休校の際、食材を廃棄せざるを得ないことがあった。地域連携を担当する橋本正則(はしもとまさのり)教諭(53)は「教職員一同、食べ物を無駄にしたくないとの思いから、臨機応変に対応できた」と話す。
同校では、今回の一件を通しフードロスについて生徒たちに考えてもらおうと、学校便りなどで共有する方針だ。加藤校長は「自分なら何ができるのか、考えてほしい」と投げかけている。