孔子が述べた『論語』に一貫している、人生の喜びとは?【論語】

子(し)曰(いわ)く、学(まな)びて時(とき)にこれを習(なら)う、説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)あり、遠方(えんぽう)より来(き)たる、亦(ま)た楽(たの)しからずや。人(ひと)知(し)らずして慍(うら)みず、亦(ま)た君子(くんし)ならずや

<訳>先生がいわれた。学問をして学んだことを繰り返していると、学んだことがさらに深く理解ができて、うれしいことだ。また友人が遠いところを、はるばるやって来てくれるのも楽しいことだ。人がたとえ自分のことをわかってくれることがないとしても、気にすることはない。それが立派な人物というものではないだろうか。

これは『論語』二十篇のなかの、最初にでてくる有名な一節です。

この一文のなかで孔子は、人生の喜びとなることについて述べているのです。それは取りも直さず『論語』に一貫している、根本的な思想、哲学といえるでしょう。

学ぶことは、師に教えてもらうなり、書物を通して知ることですが、知るだけではなく学んだことを操り返すことで、自分の身につくものだといっています。

また志(こころざし)を同じくする友人と、たまに会って話をすることができるならば、そのことこそが人生の喜びとなるというのです。

仮に、世の中の人が認めてくれなくても、人を恨(うら)むようなことでは、立派な人とはいえないのです。人の評価を気にするのではなく、自分の信じたことを、自分の喜びと感じられるような生き方をすることが、大切なことだと孔子はいっています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 論語』
監修:山口謠司 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現大東文化大 学文学部中国学科准教授。 主な著書に『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)、『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』『ん─日本語最後の謎に挑む─』『名前の暗号』(新潮社)、『てんてん 日本語究極の謎に迫る』(角川書店)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)、『大人の漢字教室』『にほんご歳時記』(PHP 研究所)、『漢字はすごい』(講談社)、『語彙力のヘソ』(徳間書店刊)、『おとなのための 1 分読書』(自由国民社)など著書多数。

2500年の時を超え、「聖書」と並び読み継がれてきた孔子の言葉を著した『論語』。「人生最高の教え」と賞される、この全20章500余の短文から現代により通じる「珠玉の言葉」を厳選して紹介、図解でわかりやすくまとめた1冊!

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