冬キャンプの強い味方『石油ストーブ』。暖房器具としてだけでなく、調理器具としても使えるため所有している方も多いですよね。ですが、快適に、かつ安全に冬キャンプの時間を楽しむにはいくつかの注意点もあります。そこで、石油ストーブを製造している「株式会社トヨトミ」さんに気になることを聞いてみました!キャンプで石油ストーブを使用している方、必見です。
創立1949年『株式会社トヨトミ』は石油燃焼機器などを数多く展開する老舗メーカー
愛知県名古屋市に本社を構える「株式会社トヨトミ」
主に石油燃焼機器や家庭電気機器を展開し、世界各国のニーズに応えています。
創立は1949年。つまり、半世紀以上もの間、たくさんのご家庭に「暖かい」を提供している老舗のメーカーです。
「トヨトミとキャンプにどんな関係が?」と思う方もなかにはいらっしゃるはず。
何を隠そう、キャンプでよく使用されているレインボーストーブはトヨトミ製。
トヨトミは家庭だけでなく、キャンプシーンにも「暖かい」を届けているのですね!
トヨトミのアウトドアブランド「GEAR MISSION」は無骨なデザインでキャンパーに大人気!
さて、前述のとおり世の中にさまざまな製品を送り出しているトヨトミですが、アウトドアブランドも立ち上げていることをご存知でしょうか?
その名も「GEAR MISSION」
「無骨なアウトドアライフスタイル」をコンセプトに、アウトドアで活用できるギアが無骨なデザインに仕上げられています。
石油ストーブなどの暖房器具はもちろんのこと
「東洋スチール株式会社」やアウトドアブランドの「Hang out」とコラボしたギアも展開しています。
どれもキャンパー心をくすぐる仕上がりなので、全部揃えたくなっちゃいます。
トヨトミGEAR MISSIONシリーズ特設サイト
GEAR MISSION特別ページ
https://www.toyotomi.jp/gear-mission
トヨトミによる石油ストーブ講習会が青川峡キャンピングパークで開催
2022年12月某日、トヨトミさんに「キャンプ場スタッフとして石油ストーブのことをちゃんと理解しておきたいです!」とお願いしたところ、二つ返事で了承をいただき講習を行ってもらえることに!!
なんというフットワークの軽さ!!ありがたいです。
講習には「青川峡キャンピングパーク」と「やまてらす」のキャンプ場スタッフ、ハピキャンの大西編集長と...
キャンプの妖精「ナイスキャンプマン」も参加しました!
キャンプマナーを伝えるだけでなく、キャンプに関する知識も貪欲に学ぶナイスキャンプマン。
ナイスキャンプマンの前向きな姿勢さすがです!
急なお願いにも関わらず、しっかりとした講習資料を準備してくださったトヨトミさん。
しっかりと勉強させて頂きます!
【教えてTOYOTOMI先生-準備編-】石油ストーブを使用する前に確認しておきたいこと
半日にわたり行われた石油ストーブ講習会。
講習内容はもちろんのこと、普段抱えている素朴な疑問にも丁寧に答えて頂き、とっても参考になる講習で「キャンパーさんにも共有したい!」と思う情報もたくさんありました。
【教えて! TOYOTOMI先生】と勝手に名付けちゃいましたが、多くのキャンパーさんが知りたいであろうことを、直接聞いてみましたよ!
質問に答えてくださったのは、株式会社トヨトミの篠原さん。
メーカーならではの豊富な知識と丁寧な口調で、わかりやすく説明していただきました。
【疑問①】本体が揺れた時に灯油が漏れにくい石油ストーブってどんなもの?
石油ストーブには大きく分けて反射形石油ストーブと対流形石油ストーブの2種類があります。
どちらも良く見かけるタイプのストーブですが、本体が揺れた時に灯油が漏れにくいのはどちらのタイプなのでしょうか?
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対流形石油ストーブのほうが灯油が漏れにくいです。
なぜ、対流形石油ストーブなのでしょうか?
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対流形石油ストーブはタンクと本体が一体化しているなど、構造的に漏れにくくなっています。ただし、取扱説明書のとおり移動の際は灯油の抜いてくださいね。
なるほど、キャンプ中に灯油が漏れてしまう心配をあまりしなくていいのは助かりますね!
【まとめ】
Q.本体が揺れた時に灯油が漏れにくい石油ストーブはどんなもの?
A.構造上、対流形石油ストーブがおすすめ。
【疑問②】灯油はどのように保管しておくべき?
石油ストーブには欠かせない灯油。ご家庭でも使う方も多いと思いますが、どのように保管していますか?
筆者は屋外に置いていたのですが、実際はどうするのが適切なのでしょう?
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できれば屋内の冷暗所。重要なのは雨水・高温・日光を避けた場所で保管することです。
つまり、筆者の保管方法は全然ダメだったということですね。薄々そんな気はしていました(笑)
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日光が当たる場所や高温の所に保管していると、ポリタンク内の水分が結露してポリタンク底に溜まります。
石油ストーブに水が混入すると、動作不良の原因にもなります。
水は灯油より重いため、ポリタンク底に溜まります。
燃料を補充する際にはポリタンク底から汲み上げるので、水も一緒に石油ストーブ内に入ってしまいます。
キャンプで使おうと思った時に、石油ストーブが使えなくなっていたら大変ですからね。
ポリタンクの保管場所には気をつけましょう。
【まとめ】
Q.灯油はどのように保管するべき?
A.ポリタンク内の結露を防ぐため、できれば屋内の冷暗所。重要なのは雨水・高温・日光を避けた場所で保管すること。
【疑問③】去年の灯油は使っても大丈夫?
「灯油を使い切らずにシーズンが終わってしまった」
そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?
ちなみに、筆者は過去に何度も灯油を越冬させています(汗)
それって大丈夫なのでしょうか、教えてください篠原さん!
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去年の灯油は不良灯油になっている可能性があるため、 使用しないことをおすすめします。
"不良灯油"とは
・シーズン前から保管している灯油
・日光の当たる場所に保管した灯油
・他の油類が混入した灯油
・水抜剤や助燃剤の混合した灯油 など
上の写真は今年購入した灯油と、去年から保管して変質した不良灯油を比較したもの。
去年の灯油は日光の当たる場所に置いてあったこともあり、色味が変化しています。
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不良灯油を使用するとタール分が芯に溜まり、点火動作ができなくなる等の不具合が起こる可能性があります。
トラブルを避けるためにもシーズン終わりには灯油を使い切るか、灯油をお買い求めになった販売店にご相談するのがおすすめだそうです。
これからは灯油を越冬させないようにします(反省)。
【まとめ】
Q.去年の灯油を使用しても大丈夫?
A.不良灯油になっている可能性があるので、やめておきましょう。
【教えてTOYOTOMI先生-使用編-】キャンプで暖かく安全に石油ストーブを使用するには?
ここまでは石油ストーブを使用する前、いわば準備段階のことを聞いてきました。
では、キャンプで使用するときはどのようなことに注意したらいいのでしょうか?
実際に石油ストーブを屋外に持ち出し、いろいろと聞いてみました!
【疑問①】テント内で石油ストーブを使用してもいいの?
やはり、みなさんが気になるのは「テント内で石油ストーブを使ってもいいの?」という点なのではないでしょうか?
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トヨトミとしては注意事項を守ってもらえれば、テント内で石油ストーブを使用することは可能と考えています。
手放しで大丈夫というわけにはいかないものの、いくつかの注意事項を守れば大丈夫とのこと!
トヨトミさんとしては安全に使用できるよう試験も行ったうえで、啓蒙活動にも力を入れているみたいです。
では、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?
篠原さんに確認したところ、主に以下のことに注意してほしいとのことでした。
【テント内で石油ストーブを使用する際の注意点】
・ストーブから半径1m以内の場所に、燃えやすい物やガス缶などを置かないこと。
・テントのフロアシートは外すこと。
・通気口やベンチレーションは開けること。
・水平がとれた場所に置くこと。
・燃焼機器(ストーブ、こんろ、バーナー、ランタンなど)の使用は1台だけにすること。
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最低限、これだけのことは守ってくださいね!
項目が多いと感じるかもしれませんが、どれも難しい事ではありません。
そしてもうひとつ大切なことを教えてくれました。
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あとは、風が当たらない場所に設置することも大切です。
石油ストーブに風が直接当たってしまうと、不完全燃焼をおこしススがでたり、故障の原因になる可能性があります。
急に風が吹いた時に対応できないタープの下などでは使用できません。
石油ストーブを使用する際には必要以上に換気をしないといけないと思っていたので、この事実は意外でした。
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ただ、大前提としてキャンプで使用するテントが石油ストーブを使用しても大丈夫かどうかは確認しておくことを忘れてはいけません。
なにか事故が起きてからでは遅いですからね。石油ストーブの使い方や使用するテントについて確認のうえ冬キャンプを楽しんでください!
石油ストーブは燃焼機器のため、安全に配慮して使用しないと事故の危険性もあります。
冬キャンプで石油ストーブを使用する際には、篠原さんから教えてもらったことをしっかりと守り、あくまでも自己責任・自己判断のもと活用しましょうね!
【まとめ】
Q.テント内で石油ストーブを使用しても大丈夫?
A.いくつかの注意点を踏まえれば可能。注意点は以下の通り。
・ストーブから半径1m以内の場所に、燃えやすい物やガス缶などを置かないこと。
・テントのフロアシートは外すこと。
・通気口やベンチレーションは開けること。
・水平がとれた場所に置くこと。
・燃焼機器(ストーブ、こんろ、バーナー、ランタンなど)の使用は1台だけにすること。
・風が当たらない場所に置くこと。
・使用するテントが石油ストーブを使用しても大丈夫か確認しておくこと。
【疑問②】一酸化炭素チェッカーは使用するべき?置くならどこがいい?
石油ストーブは屋外よりも屋内で使用した方が良いことはわかりました。
ですが、使用する上で気になるのは一酸化炭素ついてです。
一酸化炭素チェッカーはやはり使用した方がいいのでしょうか?
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一酸化炭素チェッカーは製品ごとに精度にばらつきがあるので、過信はしないでもらいたいです。
まずは何より、石油ストーブを使用する際はさっき説明したことを守ってくださいね。
一酸化炭素チェッカーを使用するにしても、まずは【疑問①】で教えてもらったことをしっかりと守ることが大事だそうです。
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石油ストーブをちゃんと使用すれば人体に影響を及ぼすような一酸化炭素は発生しません。
燃焼不良を起こさない限り、発生するのは基本的に水と二酸化炭素だけなんですよ。(*灯油の中に微量の不純物も混じっているので水と二酸化炭素以外も発生します。)
【まとめ】
Q.一酸化炭素チェッカーって使用した方がいいの?
A.機器によって精度が違うので、過信は禁物。
ちゃんと燃焼すれば人体に影響を及ぼすような一酸化炭素は発生しないので、まずは石油ストーブを使う際の注意事項を守ってもらうことが大切。
【疑問③】ストーブファンは使用しても大丈夫?
暖かい空気をテント内に循環させるために使われる「ストーブファン」
石油ストーブとセットで使用している方をよく見かけますが、これに関して篠原さんの見解はどうなのでしょうか?
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トヨトミの石油ストーブの天板の温度は300度を超える温度になるので、ストーブファンが故障してしまう可能性があります。
もちろんストーブファンによってスペックや構造は異なりますが、故障やそれに伴い石油ストーブに不具合が出てしまう可能性もあるため、あまりおすすめはできないとのことです。
テント内の空気を循環させたいときは、石油ストーブに直接風が当たらないようにサーキュレーターなどを使用するのが良さそうですね。
【まとめ】
Q.ストーブファンは使用してもいいの?
A.天板の温度は300度を超えるため使用しない方が良い。
【疑問④】石油ストーブの天板に大型の鍋を置いても大丈夫?
石油ストーブは暖房器具としてはもちろんのこと、天板を利用して調理も可能です。
おでんやシチューなど煮込み料理をする際にとても便利なんですよねー。
ですが、ここで気になる点がひとつ。天板の上に大型の鍋を置いても大丈夫なのでしょうか?
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天板の上には、天板より大きい鍋を置かないでくださいね。
内部に熱がこもったり炎が横に伸びたりして、異常燃焼のおそれがあります。
石油ストーブで調理をする際に、天板より大きい鍋を使用していた方も結構いるのではないでしょうか?
正直、筆者もやってしまっていたことがあります...。
みなさんも天板の上で調理をする際は、鍋のサイズに気をつけましょうね!
【まとめ】
Q.天板の上に大きな鍋を置いてもいいの?
A.天板からはみ出すような大きさのものは置いてはいけない。
石油ストーブを正しく使用して、安全に暖かく冬キャンプを楽しもう!
冬キャンプで使用している方も多い石油ストーブについて、いろいろと質問をさせてもらいました。
株式会社トヨトミの篠原さんに教えてもらったように、注意事項を守ればテント内での使用は可能です。
ただ、裏を返せば注意事項を守らずに使用するのはNGということ。
安全で暖かい冬キャンプを過ごすためにも、使用前にはしっかりと注意事項を確認しておきましょうね!
株式会トヨトミ 公式サイト
TOYOTOMI home+|トヨトミ公式オンラインショップ
また、トヨトミさんのwebページではテント内で石油ストーブを使用する際のガイドラインや動画も公開されています。
とても参考になるので、冬キャンプで石油ストーブを使用する方はぜひご確認を!
講習を開催してくださった株式会社トヨトミのみなさん、ありがとうございました!
トヨトミプロデュースイベント「ふゆキャンプのすすめ」が開催されました!
1月14日(土)〜15日(日)に青川峡キャンピングパークにて「ふゆキャンプのすすめ」が開催されましたよ!
このイベントでは、実際に石油ストーブを体験したり、使い方のレクチャーがあったりなど、冬キャンプに役立つことを学ぶことができました。
「石油ストーブを使ってみたいけど、よくわからない」といった方々の背中を押すようなイベントであったのではないでしょうか!?
ほかにもたくさんのブースもあり、子どもから大人まで多くの方が楽しんでくれていました♪
冬キャンプってハードルが高いように感じるかもしれませんが、ちゃんと知識を持って臨めば、夏キャンプには無い面白さもたくさんあるんですよね〜。
ちなみに筆者は冬キャンプ派です(笑)
みなさん、冬キャンプで石油ストーブを使用する際には注意事項を守って、楽しく安全に過ごしましょうね!