【日本三大稲荷】京都「伏見」以外は決まっていない?有力候補がいくつもあった!

日本全国に3万社あるといわれている「お稲荷さん」は、五穀豊穣、商売繁昌、家内安全などの神様として多くの人たちに親しまれています。その総本宮なのが京都の「伏見稲荷大社」で、日本三大稲荷のひとつといって間違いはないでしょう。しかし、あと2つはどこでしょうか? 調べていくと、いくつもの有力候補が挙がりました。今回は、それぞれの特徴を紹介します。

数千本の鳥居が壮観! 稲荷神社の総本山「伏見稲荷大社」(京都市伏見区)

711年が起源とされる、京都市伏見区の伏見稲荷大社は、全国各地に祀られている稲荷神社の総本宮です。稲荷山の西麓に位置し、日本屈指の参拝者数を誇ります。

約4kmにわたる稲荷大神の降臨地「稲荷山」の峰々を巡拝する「お山めぐり」が有名です。まるでトンネルのように、参道に建立された朱塗りの千本鳥居は圧巻! 一度は目にしたい光景が広がっています。

また、1499年に再興された伏見稲荷大社の本殿は国の重要文化財。神社建築としては大型で、本殿の棟から前拝への屋根が極めて長い「流造(ながれづくり)」と呼ばれる様式が特徴です。軒下には桃山期の見事な彫刻が施されています。さらに稲荷大神の神使はきつねで、境内の随所で眷属像(けんぞくぞう)が見られます。

2月節分の日に行われる「節分祭」では、除疫・招福の祈願を実施。当日の祭典終了後のほか、11時30分、13時の合計3回、外拝殿で福男福女、福娘による豆まき行事が行われます。

年中、国内外の観光客でにぎわう伏見稲荷大社は、商売繁昌・家内安全のご神徳があるといわれています。京都旅行をするなら、ぜひ参拝に訪れたいですね。

伏見稲荷大社

住所:京都府京都市伏見区深草薮之内町68

電話番号:075-641-7331

開門時間:24時間

交通アクセス:JR奈良線「稲荷駅」からすぐ、京阪本線「伏見稲荷駅」から徒歩5分

公式サイト:http://inari.jp/

諸説あり! 日本三大稲荷の有力候補4社、それぞれの歴史と見どころ

大小1,000点以上の霊狐塚が迫力満点な「豊川稲荷(妙厳寺)」(愛知県豊川市)

1441年に創建されて以来、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった武将や、渡辺崋山などの文化人からも信仰を集めてきた豊川稲荷は、「豊川吒枳尼真天(だきにしんてん)」を祀っています。江戸時代には、庶民の間で商売繁盛や家内安全、福徳開運の善神として広がり、今でも毎年500万人もの参拝客が訪れます。

豊川稲荷の見どころのひとつは、霊狐塚です。信者から献納された大小1,000体以上の狐像が所狭しと並んでいて、一見の価値あり! また、豊川稲荷の門前町には、飲食店やお土産店が軒を連ねています。地元グルメ「豊川いなり寿司」は必食です。

豊川稲荷(妙厳寺)

住所:愛知県豊川市豊川町1

電話番号:0533-85-2030

開門時間:5:00〜18:00

交通アクセス:JR飯田線「豊川駅」から徒歩5分

公式サイト:https://www.toyokawainari.jp/

最上尊信仰発祥の地、鳥居を持つお寺「最上稲荷(妙教寺)」(岡山県岡山市)

岡山市の最上稲荷は、1200年以上の歴史を誇る日蓮宗の寺院で、最上尊信仰発祥の地であることから「最上稲荷総本山」と称されています。明治の神仏分離令の際、特別に「神仏習合」の祭祀形態が許された貴重な霊地です。そのため、お寺でありながら鳥居や、神宮形式を併せ持つ本殿(霊光殿)があります。

龍王山の懐に位置する最上稲荷は、広大な敷地を有し、大きく分けて、本殿の建つ正面中央の台地「祈祷ゾーン」、旧本殿の建つ右奥の上段部分「文化財ゾーン」、根本大堂の建つ右下の下段部分「供養ゾーン」の3つのゾーンがあります。

さらに全国的にも珍しい縁切り、縁結びの両方の天王(仏教の守護神)が祀られていることでも有名です。毎月7日に開催する「両縁参り」を体験すれば、ステキな縁に恵まれるかもしれません。

最上稲荷(妙教寺)

住所:岡山県岡山市北区高松稲荷712

電話番号:086-287-3700

祈祷受付開設時間:5:30~16:00

交通アクセス:JR「岡山駅」からタクシーで20分、JR桃太郎線(吉備線)「備中高松駅」からタクシーで5分

公式サイト:https://inari.ne.jp/

九州の日光東照宮と呼ばれる、豪華絢爛な「祐徳稲荷神社」(佐賀県鹿島市)

1687年に、肥前鹿島藩主、鍋島直朝公の夫人「花山院萬子媛」が朝廷の勅願所であった稲荷大神の御分霊を勧請したのが始まりとされる祐徳稲荷神社。境内には、楼門や神楽殿、本殿などが点在し、それらの豪華で鮮やかな外観から「鎮西日光(ちんぜいにっこう)」「九州の日光東照宮」と呼ばれています。

見どころは、奥の院までの道のりに並ぶ大小さまざまな朱色の鳥居と、奥の院からの眺望です。山頂の奥の院からは有明海まで一望できます。また、境内には美しい日本庭園があり、アジサイ、ボタン、ウメ、アサガオ、ロウバイといった四季折々の花が咲いています。さらに神社の参道にある門前商店街では、名物「稲荷ようかん」の購入が可能です。

祐徳稲荷神社

住所:佐賀県鹿島市古枝乙1855

電話番号:0954-62-2151

開門時間:24時間

交通アクセス:JR長崎本線「肥前鹿島駅」からタクシーまたはバスで約10分

公式サイト:https://www.yutokusan.jp/

1360余年の歴史を誇る、藤の大樹で有名な「笠間稲荷神社」(茨城県笠間市)

651年に創建されたと伝えられ、1360余年の歴史を誇る笠間稲荷神社。ご祭神は「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」で、正一位という最高の位を持つ神様です。

境内には、樹齢約400年の「八重の藤」と「大藤」の2株の大樹があり、例年5月上旬に開花すると、薄紫色の華麗なカーテンに!

また、日本で最も古い菊の祭典「笠間の菊まつり」は、10月中旬から11月下旬に笠間稲荷神社をメイン会場として開催されます。黄・白・ピンクなど色とりどりの菊が咲き誇り見事です。菊花品評会や流鏑馬(やぶさめ)といったイベントも見逃せません。

笠間稲荷神社

住所:茨城県笠間市笠間1

電話番号:0296-73-0001

開門時間:6:00~日没 ※季節により異なります

交通アクセス:JR水戸線「笠間駅」から徒歩約20分またはタクシーで約5分

公式サイト:http://kasama.or.jp/

そのほかにも有力候補の稲荷がたくさんある

これらのほかに、竹駒神社(宮城県岩沼市)のほか、千代保稲荷神社(岐阜県海津市)、瓢箪山稲荷神社(大阪府東大阪市)、草戸稲荷神社(広島県福山市)なども日本三大稲荷として数えられることがあります。

日本に3万社もあり、商売繁盛・芸能上達・家内安全・病気平癒といった幅広いご利益があるとされる稲荷だからこそ、日本三大稲荷の有力候補がたくさん存在するのかもしれませんね。

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