レッドブルF1、予算上限の超過によるペナルティを約25%消化。2023年型マシンの開発に「影響している」と代表

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、昨年末にレッドブルに科されたコスト制限違反のペナルティは、すでにチームの2023年型マシンの開発に影響を与えていると述べている。

 レッドブルは、2021年に1億4500万ドル(約186億円)に制限されていた予算をわずかに超過したことで、FIAから700万ドル(約9億円)の罰金と空力開発時間を10%削減するペナルティを科された。当時、ホーナーはチームに科せられた競技ペナルティを「極めて厳しい」ものだとし、マシンは1周あたり0.25秒から0.5秒のタイムを失う可能性が高いと述べていた。

 メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンなど他の人々は、ホーナーの極端にネガティブな評価を軽視し、空力開発時間の削減の程度は、実際には「チャンピオンシップでひとつ順位が上がれば失うくらいのもの」だと主張している。

 各チームへの空力テスト時間の割当は逆スライド制で決められ、コンストラクターズ選手権のランキングにおけるチームの順位によってパーセンテージが変わる。全体として、レッドブルは予算制限ペナルティと2022年コンスタラクターズ選手権1位の結果を基に、63%の風洞およびCFD使用時間を割り当てられている。そしてこの削減の影響をチームはすでに感じていると、ホーナーは主張している。

「我々はおそらくペナルティのほぼ25%を消化したが、もちろん影響が出ている」とホーナーは『RACER』に語った。

「四半期ごとに風洞で行えるテストの量が大幅に制限されている」

「チームはそれに適応しなければならないと思う。つまり風洞やシミュレーションツールで行うテストプロセスの内容について、さらに焦点を絞って制御しなければならないということだ」

「これはまたひとつの挑戦だ。今年に入ってもマイナスになることは確かだ。しかし我々には非常に有能なスタッフがいる。当然ながら彼らは可能な限り最高のものを引き出し、最も効率的かつ効果的な方法を適用しようとしている」

2022年F1第17戦シンガポールGP クリスチャン・ホーナー(レッドブル チーム代表)

 レッドブルはF1のコスト制限の取り締まりを受ける立ち場となったが、ホーナーは各チームがより効果的かつ効率的にならざるを得ないこのシステムに今も信頼を置いている。

「この規制は素晴らしく、効率を促進するものだと思う」

「今の状況を見て4、5年前と比べてみると、以前は一度も使われていない新品のままのパーツ在庫が多く、それらはただのスクラップになっていた」

「今ではそんなことをしている余裕はない。効果的で効率的にならなければいけない。そう考えると、ビジネスに大きな効果がもたらされている。以前は誰も目を向けなかった浪費がなくなった」

 しかしホーナーは、FIAとF1が同じコスト制限の方針をエンジン開発にも適用する場合、コンセプトには多少の調整が必要になると考えている。

「レギュレーションは今も非常に未熟だと思う。まだ2年目だ。今も進化しているところで、パワーユニット面に導入されるにあたって調整が行われている。私は基本的にF1にとってよいことだと思っているし、より公平な競争の場が生み出されている。まだ調整が必要な、ある種の要素はあると思う」

「現時点では、シャシーとエンジンの財務レギュレーションの間に相違がある。シャシー側ではクリスマスパーティができるが、パワーユニット側ではできない。そうした差の間で一貫性を持たせるために、バランスを取る必要があると思う点がある。だが全体的には非常にポジティブなことだと考えている」

「我々は今も非常に高価なエンジンとマシンをデザインしているので、大きなプレッシャーがかかっている。テクニカルレギュレーションによって駆り立てられているからだ」

「テクニカルレギュレーションとスポーティングレギュレーションは、特に2026年のシャシーに向けたものについては、それによって規制されるコストについてもっとよく考えるべきだ。そうすれば予算制限自体へのプレッシャーが軽減される」

2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペンのレッドブルRB18に飾られた『HONDA』のロゴ

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