「ステルス」の告白

 「値上げの○月」という言葉を毎月のように聞く気がする。値段はそのままでも、中身が減ったり、パッケージがひと回り小さくなったり…そんな商品も多い。レーダーに映らない戦闘機になぞらえて「ステルス値上げ」と呼ぶそうだ▲ただし本当に見えにくいかどうか、は議論の余地がありそうだ。買い物の途中で「あれっ、小さくなったかな…」と体感することもあるし、〈新しくなりました〉〈お手ごろサイズ〉など“ステルスの言い訳”を見破って笑う掲示板もネットで見つけた▲もちろん、「ステルス」も値上げには違いない。ただ「こっそり量を減らせば、苦境を乗り切った時に、こっそり元に戻せる」という言い分や意図もメーカー側にはあるのだ-というエコノミストの解説をどこかで読んだ覚えがある▲ところが、この頃は「○月から価格を引き上げる」のほかに「内容量を減らして実質的な値上げに踏み切る」という値上げアナウンスも増えてきた。「ステルス値上げ」の告白である▲告白の背景にあるのは何だろう。結局、商売は正直が一番、という企業戦略か、元に戻せる未来がまったく見えないからステルスに意味がないのか▲きょうは節分。あ、きょう暖かい-数日前、そんな日があった。だが、春の足音はなかなか実感できずにいる。


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